ルーラ大統領、G7エヴィアン・サミットに参加へ
2026年 06月 11日
ブラジルのルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は、今後数日中にフランスのエヴィアン=レ=バンへ向けて出発し、世界主要7カ国が集うG7サミットに招待国として10回目の参加を果たす。
G7の正式メンバーは、カナダ、米国、英国、フランス、イタリア、ドイツ、日本の7カ国で、欧州連合(EU)も制度上のメンバーとして加わる。
首脳会議は6月15日から17日にかけて開催される。ブラジルのほか、インド、ケニア、韓国、エジプトなど、国際的に重要な位置づけを持つ国々の首脳も招待されている。
ブラジル外務省は、ルーラ大統領は3つの公式行事に参加すると発表した。最初の登壇は16日の首脳セッションで、国際開発に向けたパートナーシップをテーマに演説する予定だ。大統領は、政府開発援助(ODA)拡充の必要性を強く訴えるとみられている。
ODAは、先進国が、開発途上国の経済や社会の発展、国民の福祉向上を目的として拠出する公的資金を指す。
「近年、このODAの規模が大きく減少しており、特に開発途上国の間で深刻な懸念が広がっている」と、ブラジル外務省・経済・財務局のフィリッピ・フォックス=ドゥルモン・ゴフ大使は、10日(水)に行われた記者会見で述べた。
今年の議長国であるフランスは、国際支援強化に向けた方策を盛り込んだ共同声明の採択を目指しており、その中には民間セクターとの連携拡大が含まれる可能性がある。
新たな国際ガバナンス
17日には、別の首脳セッションでルーラ大統領が「均衡ある経済成長」をテーマに発言し、特に世界貿易機関(WTO)や国際連合(UN)といった国際機関の改革を中心に、グローバル・ガバナンスの見直しの必要性を強調する見通しだ。
ルーラ大統領は先週の閣僚会議でも、今回のG7にこの議題を持ち込む意向をすでに示していた。
「当初はG7に参加する予定ではなかったのですが、改めて参加する必要があると考えています。多国間主義や民主主義、そして国際機関の価値が損なわれている現状に、誰かが秩序を取り戻さなければならなりません。国連が機能していないからといって、国連を壊して世界を直せるわけではありません。必要なのは国連の改革です」と述べ、国連の強化と安全保障理事会改革の必要性を改めて訴えた。
こうした発言は、米国通商代表部(USTR)がブラジルからの一部輸入品に対し25%の追加関税を課す可能性を示唆した直後に出たものだ。
USTRの報告書は、1年前にドナルド・トランプ米政権が開始した調査に基づくもので、ブラジルが米国との貿易で“不公正な慣行”を行っているとする内容を含む。報告書では、追加関税の根拠として複数の項目が挙げられており、その中には、ブラジルの即時決済システム「Pix」が、Mastercard、Visa、WhatsApp Pay など米国企業の電子決済サービスに“不当な不利益”を与えているとしている指摘も含まれている。
人工知能(AI)
同じく17日には、ブラジル代表団が人工知能(AI)をテーマとした昼食会に参加する予定だ。「私たちは、AIに関してどのように考えているのか、その機会とリスクについて説明することになる」(フィリッピ・フォックス=ドゥルモン・ゴフ大使)
AIの規制は、現在ブラジル連邦議会で審議が進む重要議題の一つだ。下院は年内にも関連法案を採決する見通しで、上院から送付された同法案は、AIの開発と利用に関する基本原則を定めている。法案は、AI技術が透明性、安全性、信頼性、倫理性を備え、差別的なバイアスを排除し、人権と民主的価値を尊重することを求めている。
また、技術開発、イノベーション、自由な事業活動、自由競争の促進も考慮されるべき要素として明記されている。さらに、法案は「高リスク」と分類されるAIシステムを列挙し、健康、安全、その他の基本的権利に損害を与える恐れのある特定のAI技術の開発を禁止している。
G7の議題
ブラジルは正式メンバーではないため、G7文書の交渉には直接加わらないものの、いくつかの主要テーマについて意見を述べる機会を持つ。議長国フランスは現在、7本の文書で合意形成を図っており、その中心となるのが、最も脆弱な国々への支援を含む国際開発パートナーシップに関する文書である。
2本目の文書は「バランスの取れた経済成長」を扱う。また、デジタル環境における子ども・青少年の保護もG7の議題に含まれており、ブラジルは先駆的とされる「ECA Digital(デジタル子ども・青少年法)」を成立させた経験を共有する見通しだ。
G7各国および招待国の外交団は、麻薬取引対策、がん対策、不法移民の密輸取り締まり、そして重要鉱物に関する文書についても協議を進めている。特に重要鉱物については、ブラジルが世界第2位のレアアースおよび重要鉱物の埋蔵量を有することから、同国にとって関心の高いテーマとなっている。
「ブラジルの立場から最も重要なのは、重要鉱物の問題を“開発”の観点から捉え、採掘地で付加価値を生み出すことだ」(フィリッピ・フォックス=ドゥルモン・ゴフ大使)
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




