米企業によるレアアース鉱山会社買収を巡り、ゴイアス州政府と連邦政府が対立
2026年 04月 28日

ブラジルのゴイアス州政府は、今年3月に米国政府と締結した、州内における重要鉱物の調査・開発を促進するための覚書(MoU)の正当性を主張した。
州政府広報局は「アジェンシア・ブラジル」に送付した声明で、米国との協定の目的は、原材料に付加価値を与え、ゴイアス州への投資誘致と技術開発を促進することにあると説明した。
「すべては国内法の範囲内で行われています」と同局は述べ、これは開発・産業・商業・サービス省のマルシオ・エリアス・ホーザ大臣による最近の発言への回答でもあるとした。
ホーザ大臣は先週金曜日(24日)、ゴイアス州政府は、連邦政府の権限に属する領域に踏み込んでいるとの認識を示していた。
「ブラジルの地下資源は連邦政府に属します。(鉱物資源の)開発を規制する権限は連邦政府にあります。そして、外国との関係を構築するのも連邦政府です」と同大臣は、番組「Bom Dia, Ministro」出演時に述べた。
「私たちは、単なる原材料の輸出国であり続けたいわけではありません」(ホーザ大臣)。
<セーハ・ヴェルジ社>
今回の大臣発言は、ブラジルの鉱山会社セーハ・ヴェルジ(Serra Verde)が米国企業USAレアアース(USAR)に約28億ドルで買収されたことを背景に行われたものだ。
セーハ・ヴェルジは2020年以降、ゴイアス州ミナスー市(GO)にあるペラ・エマ鉱山を操業しており、これはブラジルで唯一稼働しているイオン吸着型鉱床である。同社はまた、アジア以外では唯一、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y) の4つの重要かつ高価値の元素を生産している。
これらはハイテク産業や防衛産業に不可欠で、電気自動車、ドローン、半導体、風力タービンに使用される永久磁石の製造に欠かせない。
USAレアアースは、セーハ・ヴェルジ・グループの株式100%の取得を発表した際、ブラジル企業に対して3億ドルを現金で支払い、残りの25億ドルは同社の普通株式1億2,684万9,000株で支払うと明らかにした。
取引成立時、同社株は1株19.95ドルだったが、ブラジリア時間の本日13時時点では23.08ドルで取引されている。
USAレアアースは7年前にスタートアップとして設立された企業で、今年1月には米国商務省から13億ドルの融資と2億7,700万ドルの追加資金を獲得している。
この巨額の公的融資は、2022年8月に当時の米国大統領ジョー・バイデンが署名した 「CHIPS および科学法(Chips and Science Act)」に基づくもので、米国の半導体・電子チップ産業の強化を目的に527億ドルが投じられている。
今年2月には、米国政府系機関であるアメリカ合衆国国際開発金融公社(DFC) が、ブラジルのセーハ・ヴェルジに対し5億6,500万ドル(発表時のレートで約32億レアル)の融資を実施した。
DFCによると、この資金はペラ・エマ鉱山の生産体制の改善と拡張に充てられ、「重希土類を含む、西側の生産体制に沿ったレアアース供給源の確立に寄与する」としている。
ゴイアス州政府は、このDFCの投資は「DFC主導の取り組み」であり、米国は重要鉱物の供給源をアジア以外にも分散させ、中国依存の強い供給網からの脱却を図る意図を示すものだと説明した。
さらに州政府によると、DFCの投資契約には「米国政府がセーハ・ヴェルジの少数株主となる権利を取得できるオプション」が含まれているという。
「アジェンシア・ブラジル」は、ゴイアス州の見解についてコメントを求めるため、開発・産業・商業・サービス省(MDIC)および大統領府官房(Casa Civil)に問い合わせており、回答を待っている。
<連邦政府は「恥ずべき行為」と非難>
セーハ・ヴェルジとUSAレアアースの交渉が今月初めに公になって以来、連邦政府関係者は、ゴイアス州のホナウド・カイアド前知事が3月18日にサンパウロの米国総領事館で締結した協定を相次いで批判している。ブラジル企業の売却が正式に確認されたのは先週のことだった。
「カイアドがゴイアスでやったことは恥ずべき行為だ。彼は米国企業と協定を結び、本来は連邦政府の権限である事項を譲り渡した。気をつけなければ、この連中はブラジルを売り払ってしまう……金、銀、ダイヤモンド、森林を奪われた後、彼らはまだ何を欲しがるのか?」とルーラ大統領は今月8日、独立系ニュースメディア「ICLノチシアス」のインタビューで語った。
ゴイアス州政府は、「アジェンシア・ブラジル」に送付した回答の中で連邦側の批判に反論し、大統領府は、ブラジルにおけるレアアースの採掘・加工を規制する「真剣な政策」を策定してこなかったと非難した。
「連邦政府は歴史の列車に乗り遅れた……ゴイアス州は立ち止まらず、重要鉱物の分離・加工技術を導入するため、米国や日本との協定を結んできた。ここ(州内)で採掘されるジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)、ネオジム(Nd)、イットリウム(Y)を加工する技術が国内にないため、ブラジルはこれらの重要鉱物を中国に送っている」と州政府広報局は強調した。
先週金曜日(24日)、マルシオ・エリアス・ホーザ開発・産業・商業・サービス相は、連邦政府がウーゴ・モッタ下院議長(共和党/パライバ州)に対し、国家重要鉱物政策を定める法案(PL 2780/24) の審議を一旦取り下げるよう要請したことを認めた。
大統領府は、国会がレアアース開発の明確な法的枠組みを急ぐ必要性を理解しつつも、議会審議に入る前に提案内容をさらに議論する必要があると判断したためだ。
「連邦政府は、重要鉱物の工業化義務を強化するための提案や改善点を提示したいと考えている」とホーザ大臣は述べ、今週中に政府代表団が法案の報告者アルナウド・ジャルジン議員(シダダニア/サンパウロ州)と会合を持つ予定だと明らかにした。
取材に対し、国家鉱業庁(ANM)は、外国企業であっても、国内に子会社を設立するか、既存のブラジル企業と提携するか、またはその企業を全株または一部取得する形であれば、鉱業分野での活動は法律上認められていると説明した。
いずれの場合でも、鉱物資源に対する戦略的な管理権限は連邦政府にあり、採掘の規制と許可は連邦の責任である。
<ゴイアス州は日本との関係も推進>
ゴイアス州政府が今年3月に締結した国際協力協定は、日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との間で結ばれた別の協定と類似している。JOGMECは日本の経済産業省の所管の独立行政法人で、同国の石油、天然ガス、金属鉱物の安定供給を担う公的機関だ。この協定は2025年7月に交渉が開始された。
州政府によると、日本との協力は鉱物の採掘だけでなく、レアアースの分離・加工を行う企業のゴイアス州への誘致も含んでいる。特に、同州の埋蔵量が世界全体の約25%を占めるとされるレアアース酸化物(OTR) の処理能力を国内に構築することが狙いだ。
「ゴイアス州は原材料の輸出国にとどまるつもりはない」と、当時のホナウド・カイアド知事は2025年8月に述べていた。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




