ブラジルではW杯ブラジル戦が始まると電力消費が急減。国民が一斉に“観戦以外の活動”を停止

2026年 06月 27日

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写真は6月24日(水)、ニュージャージーで行われたブラジル対スコットランド戦(写真:Rafael Ribeiro/CBF)

ワールドカップでブラジル代表がピッチに立ったとたん、国内の電力消費は急減する。6月24日(水)、ヴィニシウス・ジュニオールらが米国マイアミのハードロック・スタジアムでスコットランド戦を開始した瞬間、ブラジル国内の電力消費量は急減した。

試合開始の19時時点で、電力需要は約9万メガワット(MW)だった。だが前半終了の19時53分までに、消費量は9,058MW減少した。この減少幅は、リオデジャネイロ州とパラー州の平均電力負荷を合計した規模に相当する(注:2022年国勢調査ではリオ州、パラー州の人口はそれぞれ1605万5174人と812万131人)。

これらのデータは、ブラジル全国の電力システムを監視する国立電力システム運用機関(ONS)のリアルタイム監視パネルに示されている。

ONSは、ブラジル全土をつなぐ全国連系システム(SIN)における発電・送電設備の運用調整を担う組織だ。例えば、電力需要が高まった際の発電量増加や、逆に供給過多となった場合の発電停止などを指示する役割を持つ。

同機関は、発電・送電・配電企業の代表者で構成され、電力分野の規制機関である国家電力庁(Aneel)の監督下に置かれている。

<W杯期間中は、おなじみの現象>

ワールドカップ期間中、ブラジル全国電力システム運用機関(ONS)は、サポーターの動きによって生じる電力消費の変動を把握するため、特別体制を敷いて監視を行っている。これにより、消費が急激に減少・増加する局面を特定できるようにしている。

監視によって、いわゆる“負荷ランプ”と呼ばれる急激な変動も把握される。今大会でのブラジルのグループステージ3試合では、いずれも試合中に電力消費が急落し、ハーフタイムや試合終了時に大幅な上昇が見られるという典型的なパターンが確認された。

変動は試合開始前から始まる。スコットランド戦当日、ONSは18時25分時点で消費負荷が9万8千MWに達していたことを確認したが、試合開始までの間に7千MW減少した。この“節電”量は、ミナスジェライス州の平均負荷に相当する(注:2022年国勢調査ではミナスジェライス州の人口は2053万9989人)。

<記録的なランプ>

前半終了とともに、ブラジル国内の電力消費はわずか9分間で5,600MW急増した。これはサンタカタリーナ州とマトグロッソ州の平均負荷を合わせた規模に匹敵する(注:2022年国勢調査ではサンタカタリーナ州、マットグロッソ州の人口はそれぞれ761万361人と365万8649人)。

ONSによれば、この数値は過去3大会のワールドカップにおけるブラジル戦のハーフタイムで観測された“負荷上昇ランプ”としては最大だった。

後半が再開されると、需要は再び急落し、試合終了3分前の20時59分には7万8,236MWと最小値を記録した。

そして、ブラジル代表がグループC首位通過を決めた直後、国内の電力消費は約18分間で8,546MW増加した。この増加幅は、パラナ州とバイーア州の平均負荷を合わせた規模に相当する。

ブラジル全国電力システム運用機関(ONS)は、ワールドカップのような大規模イベントでは電力需要が急激に上下するため、事前の綿密な準備と迅速な対応が欠かせないと説明する。こうした変動を把握するため、同機関はリアルタイム監視を行っており、そのデータによってイベントが国内の電力消費に与える影響が明確に示されるという。

同機関のマルシオ・ヘア総裁は、ONSが「大陸規模の電力システムを調整する使命を担っている」と強調する。

「家庭のリビングから街頭のパーティーまで、あらゆる行動が私たちの運用に影響を及ぼします」と述べた。

ブラジル代表は、ブラジリア時間6月29日(月)14時(日本時間6月30日(火)2時)、米国ヒューストンで日本代表と対戦する。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)