カーボベルデの歌手マイラ・アンドラージ、母国とW杯を語る
2026年 07月 9日
「これは私たちの集団的アイデンティティを形づくる瞬間です」。
カーボベルデ出身の歌手マイラ・アンドラージ──現代ポルトガル語圏音楽を代表するアーティストの一人──は、2026年ワールドカップでのカーボベルデ代表の戦いをこう総括した。
初出場となった今大会で、通称“ブルーシャークス”は、ラウンド16で大会を去った。しかし敗退したとはいえ、彼らは世界を驚かせ、他国のサポーターを魅了した。スペインとウルグアイという2つの元世界王者と引き分け、サウジアラビアを下し、さらにはリオネル・メッシを擁する三度の世界王者アルゼンチンと互角に渡り合い、今大会屈指の名勝負を演じたのである。
「ブルーシャークスは世界に謙虚さとレジリエンスの教訓を示しました」。
カーボベルデ代表が敗退した2日後の7月6日(月)、マイラはTVブラジルとテレスールのインタビューでこう語った。
「私はサッカーの熱心なファンではありません。でもワールドカップはいつも観てきました。自分たちの旗のために声援を送るとはどういうことか──その大きな発見を今、味わっています。私たちカーボベルデ人にとって、これは前例のない経験です」とマイラは述べた。
ブラジルの人々は、W杯出場が“当たり前”であるため、今回カーボベルデで沸き上がった熱狂を理解しにくいかもしれない、と彼女は指摘する。アフリカ大陸沖600キロに位置する10の火山島からなる群島、そして世界中に散らばる数多くのカーボベルデ人を包んだ熱狂は、選手団が帰国した7月5日──ちょうど独立記念日にあたる日──に行われた祝賀行事でも明らかだった。
「これに何か偶然があると思いますか? 私はそうは思いません。すべては導かれていたのです」。
マイラはそう語り、「あなたたちブラジルは“サッカーの国”であり、このレベルの競争に長年慣れています」と述べ、自身の熱狂ぶりに友人たちが驚いたことを明かした。
「でも私たちにとって、これは言葉にできないほどの感覚でした。圧倒的で、力強く、心を揺さぶる。理屈では説明できない何かが私たちを支配し、他国のサポーターにも伝染したのです」。
マイラはマイアミのハードロック・スタジアムで、アルゼンチン戦を現地観戦した。40歳にしてSNSで数百万のフォロワーを獲得した守護神ジョジマール・“ヴォジーニャ”・ジアスのセーブ、デロイ・ドゥアルチとシドニー・カブラウの美しい2得点──そのすべてに歓喜した。南米王者を倒せると信じていたが、試合結果に悲しみはなかったという。
「(試合後の)ロッカールームで、選手たちに──ヴォジーニャにも──こう言いました。
『私たちは“心のW杯”を勝ち取った。この大会の“ハートのエース”よ』」。
彼女は、愛を象徴する赤いハートが描かれたトランプの“ハートのA”になぞらえて冗談めかして語った。
「これ以上のものがあるでしょうか? いいえ。とくに今、世界がひっくり返り、混乱のただ中にある時に」。
マイラはそう述べ、今回の代表の躍進が自身に予想外の影響を与えたことを認めた。
「私は3年間、SNSでジェノサイドや中東──パレスチナで起きている甚大な不正義に関する投稿を続けてきました。今回初めて、脳がその混乱から切り離されたのです。今では、W杯には“束の間の解放”、つまり一息つく役割があると感じています。もちろん、人類にとって根本的な出来事から完全に目をそらすことはできませんが」。
彼女はまた、少なくとも3,600人が死亡し、数千人が行方不明となった連続地震に見舞われたベネズエラの人々への国際的連帯を訴えた。
マイラは、ブルーシャークスの躍進と、セザリア・エヴォラ(1941–2011)に象徴されるカーボベルデ音楽の世界的広がりを重ね合わせる。エヴォラはポルトガル文化とアフリカ文化の混淆を体現し、国の文化的力を示した存在だ。
「カーボベルデ人であることに、私は大きな誇りを感じています。音楽、セザリア・エヴォラの仕事、文化、そして今はサッカー代表によって知られる国。その一員であることに」。
彼女は、自身の“小さな祖国”が重要な役割を担っていると信じている。
「世界の中心になる必要はありません。でも、私たちは“最初のクレオールの民”であり、世界で最も多様な遺伝的背景を持つ民族の一つ──いわば“人類の縮図”なのです。だからこそ、非常にポジティブなものを発信する責任があるのです」と語った。
マイラ・アンドラーデのインタビューの他の部分は、TVブラジルが来週月曜日(13日)に放送する番組「Caminhos da Reportagem」で紹介される予定。同番組はカーボベルデ諸島と代表チームの初のW杯出場を特集する。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)



