被害者支援推進機構、女性向け防犯用催涙スプレーの利用に注意呼びかける
2026年 07月 17日
女性(16歳以上)による防犯目的での植物性抽出物を用いたエアロゾル(催涙スプレー)の購入・所持を全国で認める法案がブラジル連邦上院で承認されたことを受け(※注:6月30日に承認)、これは実効性のある治安対策ではなく「単なる応急措置」にすぎないとする見解が示された。
この評価を述べたのは、サンパウロ州検察庁(MPSP)の検事であり、被害者支援推進機構のセレスチ・レイチ・ドス・サントス代表だ。
法案は今後、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領の署名手続きに進む。
18歳以上の女性は自由に購入できるが、写真付き公的身分証、住所証明、犯罪歴がないことを示す証明書の提示が義務付けられる。16歳以上の場合は保護者の同意があれば購入できる。
容器の最大容量は50mlとされ、販売店は購入者の身元情報を含む簡易な販売記録を5年間保存する義務を負う。
使用は「不当で、現在進行中または差し迫った攻撃」を「適度に」排除する目的に限られる。盗難・紛失時には72時間以内の被害届提出が求められる。
サントス代表は、こうした措置は「刑事ポピュリズム」であり、実際の安全性を伴わないまま「安心感を与えるにすぎない」と批判する。
また、催涙スプレーの操作は容易ではなく、専門的訓練が必要だと強調した。風向きによっては噴射が自分に戻り、かえって危険が増す可能性があるほか、1メートル以内で使用すれば加害者に奪われる恐れもある。噴射形式(ジェット型か霧状か)によって扱い方が変わり、密閉空間では使用が推奨されない。
さらに、使用が不適切だった場合、被害者が加害者とみなされ処罰される可能性にも言及した。第三者に影響が及んだ場合、行政罰として最低賃金の1〜10か月分の罰金、民事責任、さらには刑事責任(傷害や過剰防衛)を問われる可能性があると警告した。
サントス代表は、購入時の書類に加え、使用者が必ず専門訓練の修了証明書を提出すべきだと主張し、政府が訓練の実施主体を定めていない点を批判した。催涙スプレーは「不当な攻撃への正当防衛」に限定されるべきだとしつつ、女性の安全確保には他にも予防的な手段があると述べた。
防犯のためには、常に安全な態度を保つことも重要であり、たとえば自宅や車に入る前には、周囲に不審な人物がいないか、誰かが自分の動きを追っていないか、近くに停まっている車の中に人が潜んでいないかなど、通りの状況を確認することが挙げられるという。また、地下鉄やバスなどの公共交通機関では、背筋を伸ばし、頭を上げて周囲をしっかり見渡しながら立つことで、自分が周囲に注意を払っていることを示すことができる。こうした姿勢は、いざという時にすぐ動ける体勢でもあり、結果として加害者が近づきにくくなるという間接的な抑止効果をもたらすという。
最後にサントス代表は、女性の安全に関する課題に対し「三権がいずれも十分に機能していない」と批判した。立法府は平等の実現が進まず、司法は被害者への対応が不十分で再被害を生み、行政府は予防的な公共政策を構築できていないと指摘した。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




