ブラジル、ASEANの完全な「対話パートナー」入りを目指し東南アジアへ

2026年 09月 11日

1000008171

ブラジルのマウロ・ヴィエイラ外務大臣。写真は2025年4月28日、リオデジャネイロで開催されたBRICS外相会合にて(写真: Fernando Frazão/Agência Brasil)

ブラジルのマウロ・ヴィエイラ外務大臣は今週、東南アジアへの公式訪問を行い、2024年に閉ざされたタイ市場のブラジル産牛肉の再開を含む複数の目的を掲げて活動している。

今回の訪問団のもう一つの目標は、ブラジルが東南アジア諸国連合(ASEAN)の「対話パートナー」の地位を獲得するための交渉を継続することだ。ASEANでの地位向上は、ブラジルと同連合加盟国との関係深化につながる。ASEANはブラジルにとって、中国、欧州連合(EU)、米国(EUA)、メルコスールに次ぐ第5位の貿易相手であり、2022年以降、ブラジルは「部門別対話パートナー」の地位を保持している。

現在、ASEANの「対話パートナー」となっているのは、12の国・地域及と国連のみで、日本、中国、韓国、米国、ロシア、インド、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、英国、EU、トルコ、そして国連(UN)である。いずれもラテンアメリカからは選ばれていない。

ブラジルとASEAN諸国との貿易は年々重要性を増しており、2003年から2025年の間に10倍に拡大した。取引額は30億ドルから380億ドルへと増加し、年間平均12%の成長率を記録している。

ASEAN加盟国は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、東ティモール、ミャンマー、ブルネイ、カンボジア、ラオスの11カ国で構成されている。

ブラジル政府は、ASEANの「対話パートナー」としての承認が、11月10〜12日にフィリピンで開催される次回ASEAN首脳会議、または2027年1月以降、シンガポールが議長国を務めるタイミングで得られる可能性があると見ている。

マウロ・ヴィエイラ外務大臣によると、ブラジルのASEANとの貿易は「近い将来」、米国および欧州との取引を上回る見通しだという。外相の今回の訪問は、ドナルド・トランプ政権による追加関税を受け、ブラジルが貿易構造の多角化を進める取り組みの一環として行われている。8月にはASEANのカオ・キムホーン事務総長がブラジリアを訪問していた。

2023年から2025年にかけて、ブラジルがASEANの主要5市場(シンガポール、インドネシア、ベトナム、マレーシア、タイ)に輸出した額は685億ドルに達し、同期間にブラジルがG7の主要5カ国(ドイツ、イタリア、英国、日本、フランス)に輸出した額と同水準となった。

ブラジルはASEANの5カ国との貿易で360億ドルの黒字を記録した一方、2023〜2025年のG7主要5カ国との取引では366億ドルの赤字を計上している。

<シンガポール>

インドで開催されるBRICS首脳会議に先立ち、マウロ・ヴィエイラ外務大臣の訪問はシンガポールから始まった。ヴィエイラ外相は、ヴィヴィアン・バラクリシュナン外務大臣のほか、両国の約20社の企業代表から歓迎を受けた。

サンパウロ州カンピーナス市と近い面積規模を持つシンガポールは、現在ブラジルにとってアジアで中国に次ぐ第2の貿易相手国であり、ASEAN域内では最大の貿易相手国となっている。昨年の両国間の貿易額は107億ドルに達し、2024年比で23%増加した。

シンガポールで開催された政治・経済リーダーとの会議で、ヴィエイラ外相は改めてブラジルのASEAN「対話パートナー」入りを支持した。

「ASEANの12の対話パートナーのうち、ラテンアメリカ、カリブ、アフリカからの国は一つもありません。ブラジルはこの空白を埋める意思と能力を備えており、その決定は11の加盟国に委ねられていることを十分に尊重しています」と述べた。

同じ演説で外相は、ブラジルは特定の国を選んで他国を排除することを拒み、すべてのグローバルな主体に対して開かれていると強調した。

「ブラジルは、南米という地域が域外の主体との緊密な協力によって大きな利益を得られると確信しています」と語った。

今年8月にはメルコスールとシンガポールの自由貿易協定が発効しており、南米と東南アジアの小国ながら国内総生産(GDP)が6,030億ドルと、アルゼンチン(6,830億ドル)に匹敵するシンガポールとの関係強化が期待されている(世界銀行2025年データ)。

ブラジル外務省は声明で、両国の外相が「アジアおよび世界の主要な地政学的課題についても意見交換した」と説明した。ヴィエイラ外相はさらに、シンガポールのグレイス・フー環境相とも会談し、環境アジェンダに関する協議を行った。

<タイ>

シンガポールを後にしたヴィエイラ外相は、9月8日から10日にかけてタイを公式訪問し、バンコクで企業関係者や閣僚らと会談した。その中にはシーハサック・プアンゲートゲーオ副首相兼外務大臣も含まれていた。

ブラジル外務省は、タイとの関係を貿易・投資、科学、技術・イノベーション、食料安全保障などの分野でさらに深めたいと説明した。両国の閣僚はまた、国際的な組織犯罪への対処に関する協力についても議論し、人身売買やサイバー詐欺などが議題に上った。

「タイ政府はブラジルに対し支援を続けており、領事分野での対話は、労働者救出のさまざまな場面で決定的な役割を果たしてきました」と外務省(MRE)の声明は述べている。

近月、東南アジアでの就労を約束されてブラジル人が渡航し、結果的に奴隷的労働に近い環境で搾取される事例が報告されている。

ヴィエイラ外相はタイの新聞「バンコク・ポスト」に寄稿し、両国関係の深化を強調した。ブラジルは、ラテンアメリカおよびカリブ地域におけるタイの主要パートナーである。

「地政学的緊張と保護主義的圧力が高まる世界において、ラテンアメリカと東南アジアのより緊密な関係は、我々の自律性を高め、発展の権利を支え、グローバル・サウスにより強い声を与えることができます」と外相は記した。

人口が7,100万人以上で面積がバイーア州に近いタイは、2025年のブラジルとの貿易額が57億ドルに達している。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)