メルコスール・日本の通商協定交渉、今月中にも開始の見通し
2026年 06月 17日
日本の外務省によると、現地時間6月16日午前11時35分(日本時間同日午後6時35分)から約30分間、G7エヴィアン・サミットに出席するためフランスのエビアンを訪問中の高市早苗内閣総理大臣は、ルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ・ブラジル連邦共和国大統領と日・ブラジル首脳会談を行った。両首脳の会談は同日付で「オ・グローボ」、「ガゼッタ・ド・ポーヴォ」など現地メディアも報じた。
高市総理大臣からは、日本にとって価値と原則を共有する戦略的グローバル・パートナーであるブラジルとの関係をさらに深化させていきたいという趣旨の発言があり、ルーラ大統領からは、伝統的な友好国である日本と、経済を含む幅広い分野で協力していきたいという趣旨の発言があったという。
この会談で両首脳は、日・メルコスール経済連携協定(EPA)の交渉開始を確認する首脳共同声明を発表した。
南米南部共同市場(メルコスール)は1995年、域内の関税撤廃等を目的に発足した関税同盟で、現在の加盟国はアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの5カ国。
(1)域内の関税及び非関税障壁の撤廃等による財、サービス、生産要素の自由な流通、(2)対外共通関税の創設、共通貿易政策の採択及び地域的・国際的な経済・貿易面での協調、(3)マクロ経済政策の協調及び対外貿易、農業、工業、財政・金融、外国為替・資本、サービス、税関、交通・通信等のセクター別経済政策の協調、(4)統合過程強化のための関連分野における法制度の調和に係る取組が行われている。
日本・メルコスール間の経済連携協定(EPA)の交渉の準備のアクションは、2025年3月のルーラ大統領訪日を機に具体的に動き出した。同年3月26日に行われたルーラ大統領と石破茂首相(当時)との日・ブラジル首脳会談では、日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組みを早期に立ち上げ、その下で、貿易関係の深化に向けて協議を進めることが確認された。
これを受けて同年12月20日(現地時間同日)、「日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組み」が立ち上げられ議論が開始された。会合はこれまで、2026年1月23日にパラグアイ共和国(メルコスール現議長国)のアスンシオン市、3月24日にはWTO閣僚会合開催中のカメルーン共和国のヤウンデ市にて、2度行われている。
第1回会合では、貿易・投資を含む幅広い分野について議論を行い、枠組みを具現化するための具体的かつ相互に有益な道筋を探る手段として、継続的かつ建設的な対話を維持することの重要性が確認された。
第2回会合では、複雑化する国際情勢の下、日本とメルコスールの経済関係を一層強化することが双方にとって戦略的に重要であることを確認した。また、同志国・地域の間で経済関係の多角化が進む状況を踏まえ、日本とメルコスールが経済連携協定(EPA)交渉を開始する場合を想定し、双方の関心分野やセンシティビティについて情報交換を行った。
エヴィアンで会談したルーラ大統領と高市首相は、これまでの進捗を確認した上で、全ての当事者の共通の決意に基づき、6月末までにアスンシオンで開催される第68回メルコスール加盟国及び準加盟国首脳会合において、日・メルコスール経済連携協定の交渉を開始することを発表したという。
また両首脳は、日本とメルコスールは、長きにわたる信頼と友好関係を有し、価値と原則を共有する戦略的に重要なパートナーであることを確認し、そのうえで、昨今の不安定な国際情勢の下において、重要鉱物、エネルギー、技術及び農業関連産業といった戦略的セクターのサプライチェーンの多角化を含む経済安全保障・食料安全保障の確保並びにルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の強化のために、協力していくことを確認した。
ブラジルの現地紙「オ・グローボ」は、「日本とメルコスールの協定という前向きな展望を非常にうれしく思う。我々は強い期待を持って待っている。6月30日のメルコスール会議で良い知らせが得られることを願っている」というルーラ氏のコメントを紹介している。
また両首脳は、経済安全保障の分野においても両国間で互恵的な協力関係を構築すべく、さらに議論を深めていくことで一致したとのこと。
(文/麻生雅人)




