生物多様性COP17閉幕 「エレバン・パスウェイ」を採択
2026年 11月 2日
【ブラジリア 11月1日 15:34】 アルメニアの首都エレバンで10月19日から開催されていた国連「生物多様性条約(生物の多様性に関する条約:Convention on Biological Diversity(CBD))」第17回締約国会議(COP17)が10月30日(金)に閉幕した。
会議では、生物多様性危機の抑制に向けて各国が行動を加速・拡大するための決定において、ブラジル代表団が戦略的な役割を果たした。
土曜日(31日)未明に合意が成立した後、各国が新たな約束を盛り込んだ最終文書「エレバン・パスウェイ」が公表された。
この決定は、国際条約で2030年までに達成すべき23の目標に対し、世界的な取り組みが不十分だと評価した「クンミン・モントリオール世界目標(GBF)」の初回レビューへの回答となるものだ。
ブラジル代表団の一員で、「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー・ブラジル(TNC Brasil)」の公共政策・政府関係ディレクターを務めるカレン・オリヴェイラ氏は、今回のCOP17を「進路修正のための会議であり、資金調達、モニタリング、先住民族・地域コミュニティの参加に関する新たな指針と前進があった」と評価した。
一方で同氏は、「しかし最も変革的なテーマ――資金量、カリ基金の実効的運用、補助金改革、生産部門の転換、成果に対する責任――は部分的に未解決のまま残された」と指摘した。
<資金調達>
合意された財政面のコミットメントには、現在は先進国のみで構成されている「ドナー国(援助供与国)の枠組み」を自発的に拡大し、中国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの経済が、より開発途上の国々における生物多様性保護の取り組みを支援できるようにすることが含まれている。
また、生物多様性のための「グローバル基金(GBFF)」と「地球環境ファシリティ(GEF)」の正式な見直しについても合意が成立し、自然保護のための世界的な行動を支える効率的な資金供給の仕組みを構築することが約束された。
エレバンでの会議期間中、COP17議長は、各国政府、国際機関、フィランソロピー(慈善団体)、民間イニシアチブによる財政コミットメントが 18億ドル以上 に達したと発表した。
<補助金>
グリーンピース・インターナショナルの生物多様性政策専門家アン・ランブレヒツ氏によると、エレバンで示された政治的な約束は善意を示すものではあるが、依然として大きな障害――不十分な資金、各国の財政・債務制約、カリ基金の資金枯渇、生物多様性保護を損なう補助金の改革の緊急性――を解消するものではないという。
補助金改革に関する議論は、会議期間中ほとんど進展しなかった。結果として、現在自然に有害な活動を支援している資金のうち、少なくとも 5,000億ドル を「自然にプラスとなる補助金」に転換することを目的とした作業部会の設置が決定された。
<製薬大手などが「カリ基金」に抵抗>
2024年のCOP16で創設されたカリ基金は、本来、自然界の種の遺伝子配列を利用して製品を開発する企業――化粧品産業や製薬産業など――が支払う資金を集める仕組みとして構想された。しかし、その運用は議論の進展不足によって停滞している。
ランブレヒツ氏によれば、大企業は2年前、カリ基金への参加を“任意”のままにとどめるために働きかけ、さらに今回のCOP17では、基金の実際の運用を機能させないようにするために尽力したという。
同氏は次のように批判している。
「巨大な多国籍企業が自然の利用によって莫大な利益を得ながら、その保全にはほとんど貢献せず、世界中の人々を生物多様性危機の影響にさらしている状況は容認できない」
<持続可能な利用>
ブラジルが提案した、生物多様性の持続可能な利用と遺伝資源の利益配分を強化するための議題は、自然にプラスの結果をもたらす活動・製品・サービスを扱う条項に組み込まれた。
これにより、各国は先住民族や地域コミュニティへの協議を行う必要が生じ、また、これらの資源の持続可能な利用を実施するための選択肢を提示する義務が生じる。
WWFブラジルの公共政策マネージャー、ミシェウ・サントス氏は次のように述べている。
「この側面を強化する必要性が認識され、将来の作業計画を支える選択肢を策定するための特別なプロセスが設けられたことは前進だ」
<コネクティビティ(生息地間の生態学的連結性)>
ブラジル代表団がエレバンで強く主張した議題の一つが、生息地間の生態学的連結性を確保し、種が移動できる「グリーン・ブルーコリドー(緑と水の回廊)」を創設する構想だった。
当初の目的は、保護地域作業計画(PoWPA)に第5のプログラム要素として組み込むことだったが、最終的には文書内で言及されるにとどまり、今後の多国間議論で継続的に扱われることが可能となった。
「自然を保全する必要がありますが、その持続可能な利用が社会的・経済的・環境的利益を生み出し、歴史的に保全に貢献してきた人々やコミュニティの権利と知識を尊重する条件を整えることも重要です」(ミシェウ・サントス氏)
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)





