FIAフォーミュラE選手権第3戦、ウルグアイで開催
2015年 12月 15日国際自動車連盟(FIA)が主催する電気自動車によるフォーミュラカーレース「FIAフォーミュラE選手権」。
2015年は10月24日、北京大会をかわきりにスタート。第3戦が12月19日(土)、ウルグアイのプンタ・デル・エステで開催される。
セカンドシーズンとなる今季は2戦を終えているが、初代年間王者に輝いたネルソン・ピケJr.が、15位~8位と苦しんでいる。
一方、ファーストシーズンでは開幕戦で優勝、以降も年間を通じて頻繁に表彰台に上がるも、不覚の「失格」などがあり、年間3位に終わったルーカス・ディ・グラッシ(ルカス・ジ・グラッシ)は2戦連続で表彰台に建つ絶好調ぶりを見せている。
そんな両選手のコメントが届けられた。
まずは第2戦を終えて、現在のチームの状況について。グラッシはチームの安定ぶりについて語った。
「ドニントン(プレシーズン公式テストを行ったドニントンパーク)の前、7月にはすでに多くのテストをやっていました。ドニントンに着いてからは最終的な微調整のみで、修正点の洗い出しはかなり前に、シェフラー(グラッシのチームのメーカー)がすべてやってくれていたので、現状には十分満足しています」(グラッシ)
ピケJr.は、ポジティヴな面もあることを述べた。
「自分たちが望んでいたようなシーズン始まりではありませんでしたが、チームとしてできるところまで向上するべく頑張っています。エネルギーマネジメントでは僕たちのチームがベストだということを見せることができましたし、ポジティブな面もあります」(ピケJr.)
ファーストシーズンとセカンドシーズンとの違いについて、グラッシ、ピケJr.は共にマシンの性能の変化について語った。
「今回我々は5速から2つ減らして3速になり、より運転しやすく安定もしています。モーターは大きくなったけど、効率性も上がって、パワフルで、しかも軽い。ゆくゆくは1速になるのでは? 今、ヴァージンとネクストEVは1速だけど、彼らはデュアルモーターで、クルマが重い。クルマ自体を軽くするということもスピードやエネルギー消費にもかかわってくるから、大事なことなのです。シーズンを通して1つのモーターしか使えないため、ただパフォーマンスがいいとか、ただ動けばいいとかという事ではなく、その調子がシーズンを通していい、ということを確実にしなければなりません」(グラッシ)
「今は3速ですが、レース中は1か2しか使いません。それだけでずいぶん違います。サスペンションも新しいですし、クルマ自体もシャープになっています。ブレーキングの安定性もずっとよくなりました。パワーをコントロールするソフトも開発して、モーターをコントロールできるようになり、パワーも正確なタイミングで供給されるようになっています。クルマ全体の機能が良くなっているのを感じています」(グラッシ)
「また、セカンドシーズン開幕戦の北京大会後、いくつかの小さな問題を見つけました。第3戦のプンタ・デル・エステ大会まで少し時間があったので、解析をしてみました。僕たちの主要目標の1つは“予選”での調子を上げる事。いつも強いレースパフォーマンスは見せているつもりでしたが、より良い“スタート位置”が必要ですからね。また、第3戦から舞台は南米に移りますし、地元でレースするのをとても楽しみにしています。モータースポーツ全体、特にフォーミュラEのファンが沢山いますからね。勿論、家族も友達も皆レースを見に来るでしょう」(グラッシ)
「ネクストEVとヴァージンだけがデュアルモーター・カーですが、僕たちのクルマはいいシステムだと思いますよ。それにネクストEV TCRとヴァージンではちょっと違うことをやっていますし、今の僕たちの仕事は、チームとしてシステムをもっと効率的にして最大限に活かすことだと思っています」(ピケJr.)
今大会の“ライバル”について、グラッシは、接戦が続くフォーミュラEでは全員がライバルだと語った。
「グリッドにいる皆がそうです。だからライバルは19人。基本的にはルノー、ドラゴン、マヒンドラ、シトロエン(バージン)と争っている感じですど、みんな誰にもチャンスはあります。フォーミュラEはみんながすごい接戦ですからね。セナもピケJr.も同じブラジル出身だし、会った時はよくフォーミュラEの話をします。勿論、秘密は教えたりしませんけどね(笑)。フォーミュラEに3人のブラジル人が参戦しているっていうことは、熱狂的なモータースポーツ・ファンが多いブラジル人にとってもいい事ではないでしょうか」(グラッシ)
「特定のライバルたちのことを考えるよりも、自分たちのチームパフォーマンスに集中した方がいいかな。できる限りのベストな仕事をすることが大事だと思っています」(ピケJr.)
また二人は、来る電気自動車社会に向けてフォーミュラEが果たす役割について語った。
「2つ大きなポイントがあります。1つは“テクノロジー”です。最初は、軽量、ハイパワー、信頼性のあるレースカーを造る事。レースカーは最も開発が難しいので、ちゃんとしたレースカーを造ったら、その技術は市販自動車に還元していくこととなるでしょう。市販自動車の方が簡単ですから。ですから、まずフォーミュラEでまずトップクラスの技術開発をしていくことが重要です」(グラッシ)
「2つ目の役割は、“露出”です。電気自動車は速い、信頼性もある、セクシーだっていうことを人々に見せる事です。スポーツカーにガソリンエンジンを使う必要はありません。従来のクルマよりEVの方が速いという事を見せることが必要です」(グラッシ)
「フォーミュラEは、未来の電気自動車市場に役に立っていくと思います。このスポーツはバッテリーや電気自動車の開発のペースを更に上げていくことができるでしょうし、それが一般自動車の世界に広がりを見せます。僕たちがコース上でやっていることは、未来の自動車産業に直接影響を与えていくことでしょう」(ピケJr.)
12月19日(土)にウルグアイのプンタ・デル・エステで開催されるFIAフォーミュラE選手権第3戦は、CSテレ朝チャンネル2で独占生中継されるほか、BS朝日、テレビ朝日で決勝ハイライトが放送される。
12月19日(土)22時30分~ テスト走行、23時50分~ 予選、深夜3時50分~ 決勝(CSテレ朝チャンネル2)
12月22日(火)23時~決勝ハイライト(BS朝日)
12月25日(金)深夜3時20分~ 決勝ハイライト(テレビ朝日地上波)
放送の詳細はテレ朝チャンネル(http://www.tv-asahi.co.jp/ch/)まで。
(文/加藤元庸、写真提供/テレ朝チャンネル)