ブラジル、ジウマ大統領の弾劾審議、上院へ

2016年 04月 18日

弾劾審議

4月17日(日)、ブラジルの下院議会はジウマ・ルセフ大統領の弾劾審議を行い、弾劾審議を上院へ送る決議を行った。現地メディア「G1」が伝えている。

23時8分にブルーノ・アラウージョ議員(PSDM/PE)の投票で賛成票は342票となり、弾劾審議を上院に送るのに必要な票が投じられた。23時25分の時点で賛成が354票、反対が130票となった。

ディベートでは、「弾劾はクーデター」、「民主主義を守れ」という弾劾反対派、「これはクーデターではない」という弾劾賛成派との意見が分かれた。

審議が上院へ送られるのは18日(月)の予定。上院で過半数の議員が弾劾審議の続行を支持、上院での弾劾法廷で審議がはじまると、ジウマ大統領は最大180日の職務停止となり、その間、テメル副大統領が大統領の任務を代行するとみられている。

審議では、上院本会議で2/3が賛成すれば弾劾が決議され、ジウマ大統領は失職することになる。ただし現時点では、最終的にジウマ大統領が弾劾されるか否かの見通しを立てるのは難しい状況だ。

また、8月からリオデジャネイロで開催されるオリンピック・パラリンピックに関しては、今回の弾劾審議を巡る騒動とは直接関係ないこともあり、一連の弾劾審議が大会の準備に大きな影響を与えることは少ないとみられている。オリンピック・パラリンピックは大会組織員会やリオデジャネイロ市などが着々と準備を進めている。

国民の意見も、弾劾反対と弾劾賛成に分かれており、この日はブラジル全国各地の路上に多くの人が集い、デモ集会を行いながら下院での審議のゆくえを見守っていた。

リオデジャネイロのコパカバーナ海岸には、弾劾に賛成する人々が集い、「ジウマ出ていけ」「汚職はもうたくさん」などのメッセージを掲げたという。

弾劾 ジウマ ブラジル

ジウマ 弾劾 ブラジル

同じくリオデジャネイロのラパ地区では、弾劾に反対する人々が集い、「クーデターをゆるすな」「民主主義を守れ」などのメッセージを叫んだという(写真下)。

ラパ 弾劾反対集会

弾劾反対集会 ジウマ大統領

(文/麻生雅人、写真上/Zeca Ribeiro/Câmara dos Deputados、写真2番目と3番目/Tânia Rêgo/Agência Brasil、写真4番目と5番目/Tomaz Silva/Agência Brasil)
写真上は4月17日、ブラジリア、下院議会場。弾劾決議を上院へ送る決議の投票が行われた。写真2番目と3番目はリオデジャネイロ、コパカバーナ海岸に集まった弾劾に賛成する人々の集会。写真4番目と5番目はおなじくリオデジャネイロ、ラパ地区に集まった弾劾に反対する人々の集会