サンパウロのインディー書籍市「フェイラ・プラーナ」東京に上陸
2016年 09月 18日9月16日(金)より19日(月・祝)にかけて、京都造形芸術大学・東北芸術工科大学 外苑キャンパス(東京・北青山)にて開催されたアートブックの祭典「The Tokyo Art Book Fair (TABF)2016」では、ゲストカントリーとしてブラジルがフィーチュアされた。
今年のTABFには、サンパウロで開かれる南米最大の独立系ブックフェア「フェイラ・プラーナ」のディレクター、ビア・ビッテンクール代表をはじめ15組の出版社やアーティストが参加。個性あふれる作品を展示、販売した。
開催初日の16日(金)にはビア代表の講演も行われた。
ブラジルのアートブックフェア「フェイラ・プラーナ」は、小規模出版社、独立出版社、ヴァーチャル出版社、ミニコミ誌発行者などが一堂に介するブックフェア。2013年3月にサンパウロの光と音の博物館内で、手作りイベントとしてスタート。4回目となる2016年には、サンパウロの大規模な展示会場であるビエンナーレで開催されている。
ビア代表はフェイラ(市)の歴史を、出展者のために用意することができたテーブルの変遷を通じて紹介した。
「第一回目は予算もなく、段ボールの机でした。見た目は素敵な仕上がりでしたが、出展者が書籍を乗せたらつぶれてしまいました。150の出展者が参加、1回の週末に約3000人が来場して、フェイラは成功に終わりました」
「第二回目ではなんとかスポンサーを確保することができて木の机を用意することができましたが、最も低品質の木材でした。建設現場で、覆いにつかうような材木で、ピンク色をしています。来場者のズボンが赤くなりました。南米各国から200の出展者が参加して、約8000人が来場しました」
「第三回目では財政状況はよりよくなりましたが、とはいってもインディペンデントのアートブックフェアで集められるお金は、新品の自転車が1台買える程度です。そこでお金を使うことはあきらめ、他のフェイラで使用された内装の廃棄物を再利用して会場を整えました。来場者は約12000にもなり、ヨーロッパ、北米からも来場した人がいました」
「第四回目では、会場もビエンナーレになり、テーブルも購入できてようやく形が整いました」
フェイラは、ビア代表とヘナータ・テレスの二人を軸に、デザイナーなどのスタッフをその都度加えて構成される、最小限のスタッフで運営されているという。
「ブラジルでは出版や製本はとてもお金がかかります。それこそハードカバーの本、質の良い印刷の本を作るには大変な経費がかかるため、限られた本しか出版されません」
経費をかけずに、手作りでも製作できる独立系出版では、表現自体の自由度も高い。それゆえ政治的な表現も自由に行うことができる(次ページへつづく Continua na página seguinte)
(写真・文/麻生雅人)
写真1番目と3番目、ファビオ・ジンプレスとジャカによる「デゼーニョマチッキ展」
写真2番目、左から駐日ブラジル大使館・ペドロ・ブランカンチ・マシャード書記官、同・山崎理仁通訳官、「フェイラ・プラーナ」ビア・ビッテンクール代表
写真4番目、「フェイラ・プラーナ」のクルーとして来日したペルナンブッコ州出身のビジュアルアーティスト、ハウウ・ルナ