ブラジルで、犬猫へのタトゥー・ピアス禁止法、承認される
2025年 06月 20日
6月17日(火)より、犬や猫に美容目的でタトゥーを入れたりピアスを開けたりする者は、罰金の支払い、動物の飼育権の剥奪に加え、2年から5年の懲役刑を科せられる可能性がある。この刑罰は、タトゥーの施術を許可した者にも適用され、施術によって動物が死亡した場合はさらに刑罰が重くなる。
罰則は官報に掲載された法律第15,150号によって規定されている。この規則は、1998年のいわゆる環境犯罪法(法律第9605号)を改正するもので、在来種か外来種かを問わず、野生動物、家畜、飼い慣らされた動物に傷害や切断を引き起こす他の虐待行為とこの行いを同等としている。
ただし、この禁止は、去勢された犬や猫の識別を容易にするために付けられる目印など、美容以外の目的で使用される場合や、牛、馬、豚などの農業生産動物の追跡可能性と認証を確保するために採用される場合には適用されない。
この法的規範は、動物に対する残酷な行為や虐待を特徴づけ、この分野の専門家の行動規則を規定した2018年の決議第1236号を採択した連邦獣医学評議会(CFMV)のメンバーを含む専門家から好評を博した。
連邦獣医学評議会(CFMV)の技術責任者フェルナンド・ザッチ氏は「法律第 15,150 号で規定された不必要な行為の禁止は、動物福祉を擁護するCFMVの立場を補完し、強化するものです。美容目的で犬や猫にタトゥーやピアスを入れると、痛みを与えるだけでなく、アレルギー反応、感染症、皮膚壊死、装飾品による事故による裂傷など、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります」と声明で述べている。
臨床医学と外科の専門医で20年以上の経験を持つマリーナ・ツィンメルマン獣医師は、動物のタトゥーの潜在的なリスクと害についてはまだ十分には分かっていないとアジェンシア・ブラジルに語った。
「当然痛みを伴うので、タトゥーアーティストは動物を麻酔する必要があり、それ自体がすでにリスクを伴います。また、動物が痛い部分を過度に舐めると、塗料がアレルギーを引き起こし、傷や感染症を引き起こす危険性もあります。さらに、結果は犬種やその他の動物によっても異なる可能性があります」と獣医師は強調した。
マリーナ医師はかつて、ピアスを抜こうとして自分の耳に重傷を負った猫を治療したことがあるという。
「飼い主は仔猫の耳にピアスを2つつけるのが可愛いと思ったのです。仔猫も他のネコ科の動物と同様に体を舐めて綺麗にします。その仔猫は顔を前足で拭こうとしたら、ピアスの一つに爪を引っ掛けてしまい、耳を引き裂いてしまったのです」(マリーナ・ツィンメルマン獣医師)
獣医師はまた、それほど一般的な事例ではないけれど、犬に金属の牙をつけたり、毛に色をつけたりするような複雑な事例を見たことがある、と回想した。
「これらは大きな暴力行為ではないとはいえ、常軌を逸した行為です」(同)
この法律は、法案として国会で5年間審議された結果、ジェラウド・アウキミン大統領代行と法務公安大臣によって承認された。法案は連邦下院議員フレッジ・コスタ(民主再生党/ミナスジェライス州)が作成し、2021年8月に下院で承認され、今年5月20日に上院で承認された。
2020年にこの法案の提出を正当化する際にコスタ議員は、報道によるとペットにタトゥーやピアスを入れることが流行になりつつあり、ペットを保護するための立法措置が必要だと強調した。
「私たちは皆、自分自身の経験や知人から聞いた話から、タトゥーを入れるのは常に痛いものだと知っています」と、議員は法案の正当性を指摘した。「自分自身の体にこのような装飾を入れたい人の自由意志については議論の余地はありませんが、自分の肌にタトゥーを入れる自由があるからといって、私たちと一緒に暮らす動物たちにも同じ決定を下せるわけではありません」
国の決定以前から、一部の自治体政府は自治体域内でのこの行為を禁止することをすでに決定していた。例えばサンパウロ市では、動物の飼い主とタトゥースタジオや商業施設の責任者には5,000レアルの罰金が科せられ、営業許可は取り消されるという法律第18,269号が10日に施行されている。
サンパウロ市の法律は、2021年からリオデジャネイロ市で施行されている法律第7051号と類似している。リオデジャネイロ市との違いは、同市では、施設に課される罰金が5,000レアルから15,000レアルの範囲で、再犯の場合は罰金が2倍になる点となっている。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)