6月21日のブラジル・ナショナルデーでは、丸1日、多様なブラジル音楽を紹介

2025年 06月 26日

IMG_8503
EXPOナショナルデーホール「レイガーデン」で行われた式典で演奏した小野リサ(撮影/麻生雅人)

大阪・関西万博の開催期間中、世界中の様々な国や地域、国際機関が「公式参加者」として、1日限定で特別な「ナショナルデー」や「スペシャルデー」を開催している。

4月14日のトルクメニスタンからはじまり、6月20日までに57の国や地域、機関が「ナショナルデー」や「スペシャルデー」を開催した。

「ナショナルデー」や「スペシャルデー」には、参加国や参加地域などが、期間中万博会場に常設されるパビリオンの運営だけでなく、国内外から来賓を招いて記念式典を行ったり、伝統的な音楽や踊り、郷土料理を紹介して、その国や地域の文化をアピールするイベントとなっている。

規模や内容は国や地域、機関によって異なるが、いわば「ナショナルデー」や「スペシャルデー」は、その日1日、万博会場が「公式参加者」となる国や地域、機関の色に染まる日、とも言える。

6月21日にナショナルデーを開催したのがブラジル連邦共和国。

EXPOナショナルデーホール「レイガーデン」で行われた式典では、パビリオンを運営するブラジル貿易投資振興庁(Apex-Brasil)のジョルジ・ヴィアナ長官が挨拶を行った後、ブラジル出身で日本で活躍している歌手、小野リサのコンサートが行われた。

IMG_8493
EXPOナショナルデーホール「レイガーデン」で行われた式典で演奏した小野リサ(撮影/麻生雅人)

日本には彼女が歌うボサノヴァのファンも数多くいるが、この日は「想いあふれて」などボサノヴァのスタンダード曲に加え、「ブラジルにはボサノヴァ以外にも、素敵な音楽がたくさんあります」と語りながら、MPBのミウトン・ナシメントの曲や、本国での80年代のロック系ポップスのヒット曲「ヂスクーピ・オ・アウエ」(ヒタ・リー)など、ブラジル音楽の多様な魅力を伝えた。

20250621_191457
会場内の屋外ステージで歌ったジョイス・カンジド(撮影/麻生雅人)

ブラジル連邦共和国のナショナルデーは、開場の9時から夕方5時まで、万博会場のさまざまな場所で、ブラジルの様々な地域に伝わる伝統音楽や伝統芸能に取り組んでいる複数の日本人グループ(バーハヴェント、ピファーノ・トーキョー、ミストケンチ、カポエイラ・ラゴア・ド・アバエテ、アヴェ・コーヴォ)がパフォーマンスを披露して、ほぼ丸1日、さまざまなスタイルのブラジル音楽が鳴り響いた。アヴェ・コーヴォはブラジル北東部の伝統音楽マラカトゥと、同地域に伝わる人形劇マムレンゴを紹介した。また、ブラジル出身で、世界各地を回って歌っているというジョイス・カンヂドが、サンバやボサノヴァを歌った。

そして、メインアクトとして、この日のために来日したアーティストは3組。

IMG_8518
「Expoホール シャインハット」のマンイアナ(撮影/麻生雅人)

「Expoホール シャインハット」で13:30から行われたのは、リオデジャネイロ出身の歌手マンイアナのコンサート(初来日)。

ボサノヴァの創始者の一人ジョアン・ジウベルト(バイーア州出身)と、ピザーロ(ペルナンブッコ州発祥の、伝統音楽をベースにした電子音楽)の人気アーティスト、ジョアン・ゴメス(ペルナンブッコ州)の世界をミックスさせた、不思議なポップワールドを披露した。

同ホールで15:00から行われたのは、80年代から活躍するブラジルの“ニューミュージック”系シンガー・ソングライター、アルナウド・アントゥニスと、ペルナンブッコ州出身のピアニスト、ヴィトール・アラウージョによる、“ピアノと声”のコンサート。

20250621_154345
「Expoホール シャインハット」のアルナウド・アントゥニス&ヴィトール・アラウージョ(撮影/麻生雅人)

80年代にはロックバンド・チタンスで活躍。その後もマリーザ・モンチ、カルリーニョス・ブラウンと組んだユニット、トリバリスタスでの活動などで知られるアルナウド・アントゥニス。
今回アルナウドがユニットを組んでいるのは、ソロ作では現代音楽的なアプローチも見せる若き(1989年生まれ)気鋭ピアニスト(初来日)。

詩人でもあるアルナウド・アントゥニスが紡ぐ言葉に呼応したありのままの感情をピアノで表現した。

17:20分頃から「EXPOアリーナ Matsuri」に登場したのは、昨年キャリア40周年を迎えたサンバの大人気歌手ゼカ・パゴジーニョ。

zeca02
「EXPOアリーナ Matsuri」のゼカ・パゴジーニョ(撮影/麻生雅人)
LISA
「EXPOアリーナ Matsuri」のゼカ・パゴジーニョのステージには小野リサも登場(撮影/麻生雅人)

ゼカのコンサートに先駆け、万博会場内を行進してきた楽隊バーハヴェントがアリーナに到着。パレードにはジョルジ・ヴィアナ長官をはじめとすえるブラジルパルビリオンのスタッフも参加。そしてこのパレードの先頭では、サンバを踊るミャクミャクの姿もあった。

40年以上のキャリアを誇るゼカのステージは、「ピザ・コモ・エウ・ピゼイ」、「セール・ウマーノ」、「クアンド・ア・ジラ・ジロウ」、「マイス・フェリース」、「ミーニャ・フェ」、「パトゥッタ・ジ・コズミ」、「オグン」、「サウダージ・ロウカ」、「サンバ・プラ・モッサス」、「コラサォン・エン・デザリーニョ」など、数々の代表曲、ヒット曲のオンパレードで、アリーナの観衆を盛り上げた。

(文/麻生雅人)