警官による犠牲者の61%は黒人、死者を出した警官の94%はほとんど処分されず
2014年 03月 28日サンパウロ州のサンカルロス連邦大学が、同州で警官によって死んだ人を肌の色で分析した結果、黒人の死亡率は白人の3倍に上る一方、死者が出た事件に関与した警官は79%が白人だった事が判明した。
正式な調査結果は4月2日に発表されるが、2011年に警察による捜索や摘発作戦、制圧行為などの際に死亡した人の数は324人。これらの犠牲者を肌の色で分けて死亡率を算出した結果、黒人の死者は黒人人口10万人当たり1.4人で、白人の0.5人のほぼ3倍となった。
また、2012年に刑務所に入った人6274人を同様に、肌の色別に人口比で計算した結果、黒人人口10万人当たりの逮捕者は35人。これに対して、白人人口10万人当たりの逮捕者は14人で、ここでも大きな差が出た。
概括すると、警官によって死亡した人の61%は黒人系で、97%が男性。77%は15~29歳の若者だった。
これに対し、死亡事件に関与した警官は79%が白人系。また、96%は軍警だった。
2009年から11年の犠牲者は734件、939人に上るが、調査全体を統括したジャケリーネ・シニョレット氏は、「これらの数字は、警察官を含む保安行政に携わる人達が、黒人系の若者は危険だとみなし、彼らを暴力的な政策の目標に仕立て挙げている証拠」という。
警官による死者が多いのは、警官自身が罰せられる事が少ないためで、死者が出た事件の94%は誰も処分される事なく捜査終了となっている。
また、「相手は犯罪者だから警官が発砲した」という大前提があり、調査対象となった事件の73%は「警官の側には殺人罪に相当する行為は認められなかった」と結論付けられ、60%は詳細な調査もされぬまま「警官の側には規律に反する行為は見られなかった」と報告されている。
だが、ジャケリーネ氏は、詳細な調査をしなくては、警官の側に犯罪行為があったか否かの判断は不可能で、予防的な措置や綿密な捜査もなく、早合点や思い込みで動いた例もありうるとの見解を示している。
サンパウロ州保安局では、詳細なデータを手にしていないのでコメント出来ないと前置きした上で、調査結果が発表された時点でその内容を吟味し、保安行政にも反映させるとの意向を明らかにした(26日付「G1」サイトより。
(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Tomaz Silva/Agência Brasil)
写真は2014年3月25日、リオ市北部コンプレクソ・マレー地区ノヴァ・オランダで、新たに配備された連邦軍と共に作戦を遂行する特殊警察作戦大隊(BOPE)