サンパウロ州におけるメタノール中毒の死者は5名に。州知事は犯罪組織の関与を否定
2025年 10月 1日
サンパウロ州政府は火曜日(9月30日)、州内で発生したメタノール中毒の7件のうち、5人が死亡したことを発表した。死亡者のうち1人は、不正に混入されたアルコール飲料の摂取が原因であることが確認されており、残る4件については現在も調査が続いていると「アジェンシア・ブラジル」が報じている。
調査では、今回のメタノール中毒の事例が、公共の場でのアルコール飲料の摂取に関連しているのか、それとも極度の困窮状態にある人々がガソリンスタンドなどでアルコールを摂取したことによるものなのかを明らかにすることが目的とされている。
サンパウロ州政府によると、火曜日に州都の複数の地点で、偽造の可能性があるウォッカのボトル112本が押収された。そのうち17本はモオカ地区で発見された。
「現在、捜査官たちは流通させた者の出自と支払いの流れを追跡することに注力しています。店舗の所有者たちはすでに事情聴取を受けており、特定された被害者を起点に、流通経路に対する捜査が進められています」とサンパウロ州政府は声明で述べた。
また一連のメタノール中毒に関して現地メディアでは犯罪組織CCCの関与が報じられているが、「ヴァロール」誌によると、サンパウロ州のタルシジオ・ジ・フレイタス知事は、犯罪組織が関与している証拠は現時点ではないと述べたという。
「さまざまな憶測が飛び交っています……そして今では、サンパウロで起きることはすべてPCC(犯罪組織)の仕業だと言われるようになっています。今回の飲料の不正混入に関しても、組織犯罪の関与が取り沙汰されていますが、はっきりさせておきたいのは、これに組織犯罪が関与しているという証拠はまったく存在しないということです」(タルシジオ・ジ・フレイタス知事)
知事は、これまでの調査をふまえ、今回疑われている飲料の偽造を行っているのは犯罪組織ではなく「日常的に飲料を偽造している人々」であり、「構造的な問題」だと指摘したという。
「実際、これは構造的な問題です。私たちが抱えているのはサンパウロ州だけの問題ではなく、ブラジル全体の問題です。今後、飲料の監視体制をどう構築するかを考え、偽造飲料の発生率を減らしていく必要があります」(タルシジオ・ジ・フレイタス知事)
(文/麻生雅人)