「世界最高の学校賞」 ブラジルの2校が最終候補に

2026年 06月 26日

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「世界最高の学校賞2026」困難克服部門のファイナリストに選ばれたリオデジャネイロ市の市立GET IV センテナリオ校(写真提供:SME-Rio)

6月25日(木)、ブラジルの2つの学校が、世界の優れた学校を選ぶ「世界最高の学校賞2026」の最終候補50校に選ばれた。選出されたのは、リオデジャネイロ市の市立GET IV センテナリオ校と、アマゾナス州サン・ガブリエウ・ダ・カショエイラのバニワ・カリパナ校。

両校は、同賞の5部門それぞれで10校ずつ選ばれるファイナリストに入った。

サン・ガブリエウ・ダ・カショエイラでは、結果が伝えられたのは午前2時。アウト・ヒオ・ネグロ先住民地域では、生徒や先住民リーダーたちが起きて待ち構え、学校の名前が呼ばれる瞬間を見守っていた。

同校が環境活動部門の最終候補に選ばれると、地域全体で歓喜が広がった。

一方、リオデジャネイロ北部のマレー地区にある技術教育センター(GET)の分校も、困難克服部門のファイナリストに選ばれ、こちらも祝賀ムードに包まれた。

「胸が喜びでいっぱいです。私たちのような脆弱な地域で、このような評価をいただけるのは本当にうれしいことです」と、GET IV センテナリオ校のアレッサンドラ・アギアール校長は喜びを語った。

<生徒の声を聴く>

GET IV センテナリオ校があるマレー地区は、リオデジャネイロにある16のファベーラ群から成る複合地域だ。ここでは警察の作戦や武装勢力の衝突が頻発しており、プロジェクト「De Olho na Maré」によれば、2016年から2025年の間に231件の警察による治安作戦が実施され、160人が死亡、1,538件の暴力行為が記録された。

校長のアレッサンドラによると、6〜11歳の子どもたちが通う同校は、ある警察作戦の後、生徒たちとの対話と“聴くこと”の必要性を痛感したという。

「私たちは『コーヒーと音楽と語らい』という取り組みを始めました。これは社会情緒的なケアの場で、特に警察作戦の後の数日間に必要とされるものでした。子どもたちは話をしたかったのです。心の中にあるものを外に出す必要があったのです」と校長は説明する。

この“聴く時間”は日課となり、生徒の心のケアを目的とした取り組み「夢の工場」プロジェクトの一部として組み込まれた。毎日の最初の20分間は、生徒たちが自分の抱える問題や気持ち、不安について話す時間に充てられている。

「毎朝、最初の20分間を子どもたちの声を聴くために使うことが、本当に大きな違いを生みます。これは毎日のプロセスです。授業を始める前に必ず立ち止まり、彼らに“夢を見ていい、望むことは何でも実現できる”と伝える時間なんです」と語る。

こうした取り組みは成果を生んだ。学校は中途退学をゼロにし、学力も向上。適正年齢での識字率は97%に達した。

「私は、関係性なしに学びは成立しないと信じています。つながりがなければ学びは生まれません。だからこそ、家庭との関係、子どもたちとの関係がとても重要なんです。彼らはここで安心して過ごせると感じている。家では話せないことを、ここでは私たちに話してくれることもあります」とアレッサンドラは語った。

「夢の工場」プロジェクトは、生徒の“聴く時間”に加え、学習の中心に子どもを据える一連の実践で構成されている。テクノロジーの活用を通じて、子どもたちは地域社会の実際の課題を調査し、学びを通して具体的な解決策を生み出していく。

家庭も重要な役割を担う。学年初めには、保護者が協働型の計画づくりに参加し、学校とともに目標やプロジェクトを共有し、役割分担を決める。

リオデジャネイロ市当局によれば、同校で実践されているこの教育手法は、市内の350校の市立学校に導入される予定で、さらに他校への拡大も見込まれている。

<伝統知の継承>

バニワ・カリパナ校では、学びは地域の土地、環境管理、そして先住民族の祖先から受け継がれてきた知識体系に基づいて行われている。教員はすべて先住民族の教育者で、授業は先住民族の言語でも行われる。

同校の教育者たちは、歴史的にブラジルの学校教育が地域の知識体系や、アマゾンの遠隔地に暮らす若者たちの生活様式を認めてこなかったと指摘する。

「その結果、文化的な断絶が生まれ、若者たちが外部の機会を求めて地域を離れる可能性が高まり、世代間での知識伝承の機会が大きく損なわれていました」と、同校の受賞エントリー文書は説明している。

同校の教育モデルは、バニワ族とコリパコ族の地域リーダーたちが、家族、長老、コミュニティのメンバーとともに構築したものだ。

学校は、地域に古くから伝わる農業システム「カーリ(Káali)」を教育の基盤に据えている。これは、マンジョッカ(キャッサバ)栽培を中心に、エコロジーの知識、記憶、歌、芸術、精神性、健康、食料生産、そして家族・地域社会の生活を結びつける先住民族の伝統的体系だ。

「こうした地域の知識は、ポルトガル語、数学、歴史など、全国的に必修とされる科目と統合され、地域の現実や先住民族教育の文脈に適応することを明確に支えるカリキュラム構造の中に組み込まれています」と文書は述べている。

<表彰>

「世界最高の学校賞」は、教育プラットフォーム T4 Education が主催し、レマン財団、アメリカン・エキスプレス、アクセンチュアが支援している。

同賞は イノベーション、環境活動、地域協働、困難克服、健康的な生活支援の5部門で構成されている。

最終候補の発表後、10月29日までインターネットによる一般投票が行われる。各部門の受賞校は11月に発表され、賞金は学校に投資される。

「これらの学校は世界の非常に異なる地域から来ています。しかし共通しているのは、優れた教育が“特定の子どもだけのもの”であってはならないという明確な姿勢です」と、T4 Educationの創設者兼CEOであり、今回の表彰を主導するヴィカス・ポタ氏は、最終候補発表の場で語った。

受賞校および最終候補校は、2027年1月16日・17日にロンドンで開催される World Schools Summit に招待される。サミットには教育者、政策立案者、教育分野のリーダーが集まり、経験や優良事例を共有する。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)