ブラジルのサッカー解説者、日本対ブラジル戦に「明確な“本命”はいない」と語る

2026年 06月 27日

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カシマサッカースタジアムで1994年10月10日に行われたジーコの現役引退イベントの日付が入ったボール。手にしているのはジーコ本人、リオデジャネイロの自宅にて2023年3月1日に撮影(写真:Tânia Rêgo/Agência Brasil)

スウェーデンと引き分けた日本代表は決勝トーナメント進出を決め、2026年FIFAワールドカップでブラジル代表の次の対戦相手となった。両者はブラジリア時間29日(月)14時(日本時間30日(火)2時)、大会開催国の一つである米国・ヒューストンで対戦する。この試合は、32チームがタイトルを争う決勝トーナメント初戦となる。

日本はグループFで2位となり、首位のオランダに続いてグループステージを突破した。グループステージでは、アフリカ勢のチュニジアを相手に4得点を挙げて大勝し、同国を大会から退けた。オランダとの初戦は2対2の引き分けだった。

日本代表は技術レベルが着実に向上しており、 日本対ブラジル戦に関して「この対戦に明確な“本命”はいない」と、TV Brasilとラジオ・ナシオナウのサッカー解説者ルシアーナ・ゾガイブ氏は評価する。

「(日本は)トランジションが速く、感情面でもバランスが取れたチーム。先に失点しても落ち着いて試合を立て直し、結果を取りに行ける。オランダ戦がその典型でした」と指摘した。

2025年には、東京で行われた親善試合で日本がブラジルに逆転勝ちしており、3対2で日本が勝利した。この試合後、ブラジル代表のカルロ・アンチェロッティ監督は、選手たちに「メンタルの強さ」を求め、ミスから学ぶ必要があると語っていた。

ゾガイブ氏は「日本はメンタルが強い。今回の試合では、私たち(ブラジル)の精神面が試されることになるでしょう」と冗談交じりに語った。

また同氏は、日本は昨年のブラジル戦以降、一度も敗れていないことを強調。「彼らはモチベーション高く大会に臨んでいます」と述べた。

日本サッカーの進化は明らかだと、同じくTV Brasilのスポーツ解説者レイチェル・モッタ氏も語る。彼女は日本のカウンターの鋭さに注目する。

「日本代表は、スター選手や高度な個人技を持つ選手が多いわけではないかもしれませんが、カウンターこそが最大の武器。守備も非常に組織的で、そこから一気に攻め上がる。ブラジルはそこで技術を見せなければいけない」と述べた。

モッタ氏は「ヴィニシウス・ジュニオール以外では、最近のブラジル代表はあまり“個の技術”が見られない」とも批判した。

<ジーコと日本サッカー>

ブラジルのサポーターにとって、日本との対戦は特別な意味を持つ。というのも、日本サッカーの発展にはブラジル人の存在が大きく関わってきたからだ。その象徴が、元選手のジーコ(アルトゥール・アントゥネス・コインブラ)である。彼は日本におけるサッカーのプロ化に貢献し、2006年ワールドカップでは日本代表を率いた。

「フラメンゴのファンには怒られそうだけど、フラメンゴでの時間は20年、日本では22年なんだよ」と、ジーコは4月にアジェンシア・ブラジル社のインタビューで冗談交じりに語った。

ピッチ外でも、両国は長い関係を築いてきた。1908年、サンパウロ州のコーヒー農園で働くために笠戸丸で800人の日本人移民が到着したことが、その象徴的な始まりとされる。

現在、日本はアジアにおけるブラジルの主要なパートナーの一つだ。ブラジル外務省によれば、両国は近年、商業分野に加え、科学技術の領域でも協力関係の強化を進めている。

同省によると、特に有望な分野として挙げられるのは、情報通信技術、航空宇宙、ロボティクス、医療・健康科学、再生可能エネルギーなどだ。

日本はブラジルにとって主要な投資国の一つでもあり、投資残高は228億ドルに達する。日本からの投資は多岐にわたり、自動車、電気機器、鉄鋼などの分野を含む。

2023年の最新データでは、両国の貿易額は117億ドルで、ブラジル側の黒字は15億ドルだった。ブラジルから日本への主な輸出品は鉄鉱石、鶏肉、コーヒー、アルミニウム、トウモロコシなどで、日本からの輸入品には自動車部品、化学製品、計測・制御機器、集積回路などが含まれる。

<両国の絆>

笠戸丸がサンパウロに到着して以来、ブラジルの日系コミュニティは大きく成長してきた。日本大使館の推計では、現在ブラジルには約200万人の日本人および日系人が暮らしており、これは日本国外で最大の規模となっている。そして当然ながら、その文化的影響は農業、料理、武道など多岐にわたる分野に痕跡を残している。

ブラジルで最も大きな日系人コミュニティがあるのはサンパウロ州だ。市内のリベルダージ地区は、看板に漢字が並び、東洋風の建築が立ち並ぶなど、日本の雰囲気が色濃く漂う。

しかし、日本人移民の存在が強く刻まれている都市は他にもある。パラナ州のアサイ、リオグランジ・ド・スウ州のイヴォッチ、パラー州のトメアスーなどがその例だ。

ブラジル外務省によれば、ブラジルに住む外国人約100万人のうち、日系人は4割を占めるという。一方、地球の反対側にある日本には、約20万人のブラジル人が暮らしていると日本政府は推計している。

「人と人とのつながりは、ブラジルと日本の関係における最も重要な財産の一つであり、対話と協力を促進する基盤となっています」と、同省は述べている。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)