連邦最高裁の判事同士が、対抗措置の応酬繰り広げる
2026年 09月 14日
【ブラジリア 9月11日】 ブラジル連邦警察(PF)のアンドレイ・ホドリゲス長官は11日(金)、連邦最高裁(STF)のエジソン・ファキン長官宛てに提出した弁明書の中で、連邦警察が作成し、アレシャンドリ・ジ・モラエス判事の指示に基づき最高裁へ送付した情報報告書は、正規の手続きに従って作成されたものであり、当局者の監視を目的としたものではないと強調した。
ホドリゲス長官は、自身の行動は「司法命令の履行に限定されていた」と述べ、メンドンサ判事が決定した自身の職務停止措置を退けるよう求めた。
ホドリゲス長官は弁明書で「連邦裁判所判事や連邦政府法務長官を違法に監視した事実は一切存在しない。裁判所手続き番号16662で問題視された文書は、監視行為や秘密裏のデータ収集、その他の侵襲的措置によって作成されたものではない」と主張した。
この一連の問題は9日(火)、STFで「マステール銀行事件」を担当するアンドレ・メンドンサ判事が、連邦警察の情報報告書の作成過程に不正があったと指摘し、さらに自身への違法監視が行われた可能性があるとして、ホドリゲス長官を予防的に職務停止としたことに端を発する。同じく連邦警察のレアンドロ・アウマーダ情報局長も同様に一時的に職務停止となった。
しかし翌日、連邦政府法務庁(AGU)の申し立てを受けたファキン長官が両名の復職を認め、ホドリゲス長官とアウマーダ局長は職務に復帰した。
ファキン長官はホドリゲス長官に対し、48時間以内に弁明書を提出するよう求めており、今後、長官の続投の可否を判断する。
メンドンサ判事による職務停止の仮処分は、モラエス判事が連邦警察の情報報告書を基に、メンドンサ判事自身に対する捜査開始を求めたことへの“応酬”として出されたものだった。モラエス判事は、INSS年金受給者への違法な控除問題やマステール銀行の詐欺疑惑の捜査において、メンドンサ判事が職務上の不正行為、権限濫用、責任犯罪に該当する可能性があると指摘していた。
ホドリゲス長官は弁明書の中で、メンドンサ判事が「匿名の報告書」だと批判した点についても反論した。
「問題となっている報告書は、文書内に明記されたとおり連邦警察による“機関としての作成”であり、システム上の登録でも確認されている。分析官の氏名が記載されていないことは問題ではなく、2016年の政令第8.793号および情報機関の原則に基づく、情報分析官の身元保護義務の反映に過ぎない」と説明した。
さらにホドリゲス長官は、メンドンサ判事が職務停止を認めた根拠となった「ノーヴォ党の申立て」についても疑義を呈した。長官は、同政党は「犯罪の可能性を警察に通報することはできる」が、「特定個人に対する司法上の予防措置を直接求める権限はない」と指摘した。
ホドリゲス長官はまた、問題となった情報報告書は「司法命令に基づいて作成されたものであり、職務逸脱や違法行為は存在しない」と改めて強調した。
<連邦政府法務庁(AGU)の見解>
同日、連邦政府法務庁(AGU)もホドリゲス長官の続投を支持する意見書を提出した。
法務庁は、連邦警察長官の職務停止処分は「連邦行政の最高責任者である大統領の憲法上の権限に直接影響を及ぼす」と指摘し、連邦警察の指揮系統や組織運営に重大な支障をもたらすと警告した。
法務庁は、連邦警察長官および情報局長は同機関の「戦略的指揮中枢」に位置づけられており、両名の職務停止は単なる人事問題にとどまらず、組織全体の運営と指揮系統に深刻な影響を与えると強調した。
最高裁(STF)内部の対立は先週、アンドレ・メンドンサ判事が、銀行家ダニエウ・ヴォルカーロからモラエス判事に送られたとされるメッセージを含む連邦警察(PF)の報告書の機密扱いを解除したことをきっかけに表面化した。
この報告書には、モラエス判事や連邦検察庁(PGR)のパウロ・ゴネー長官の名前が言及されている。メッセージは、金融機関マステール銀行をめぐる数十億レアル規模の金融詐欺疑惑を捜査する「コンプライアンス・ゼロ作戦」で押収されたヴォルカーロの携帯電話から復元されたもの。モラエス判事は一連の疑惑を否定している。
これに対しモラエス判事は、連邦警察内部の未完結の報告書を根拠に、メンドンサ判事を「フェイクニュース事件」の捜査対象に追加した。同報告書は、メンドンサ判事がINSS年金受給者への違法控除問題やマステール銀行の詐欺疑惑の捜査において、職務上の不正行為、権限濫用、特定政治勢力への便宜供与に該当する可能性があると指摘していた。
今週、メンドンサ判事はノーヴォ党の申立てを受け、連邦警察のアンドレイ・ホドリゲス長官とレアンドロ・アウマーダ情報局長を職務停止とし、連邦警察による情報報告書の作成を一時停止するよう命じた。この決定は連邦警察内部で強い反発を招き、他の局長らがホドリゲス長官への連帯を示すために辞任届を提出する事態となった。
その後、連邦政府法務庁(AGU)がファキン長官に対し、メンドンサ判事の決定の停止を求めた。しかし、ファキン長官が判断を示す前に、フラヴィオ・ジノ判事が9日(水)朝、ホドリゲス長官とアウマーダ局長の復職を命じた。
ジノ判事は、ノーヴォ党にはこの種の申立てを行う正当性がないと指摘し、連邦警察による情報報告書の作成停止は、自身が担当する捜査に深刻な支障をもたらすと説明した。
ジノ判事の判断は、サンパウロ州警察が押収した資料を連邦警察が分析している別の事件、すなわち国会議員の予算配分を不正に流用し、映画『ダークホース』(元大統領ジャイール・ボルソナロの伝記映画)の制作資金に充てた疑惑の捜査に関連する手続きの中で下されたものだった。
しかし最終的には、ファキン長官がジノ判事の決定を停止し、ホドリゲス長官を連邦警察長官として正式に復職させた。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




