米トランプ政権、ブラジル選挙への干渉目的で連邦最高裁への攻撃に資金供与か
2026年 10月 2日
ブラジル連邦政府の法務代理機関である連邦総弁護庁(AGU)は、ドナルド・トランプ政権がブラジルの選挙に干渉し、連邦最高裁(STF)の正統性を損なう目的で資金を提供したとされる疑惑について、連邦警察(PF)および連邦検察庁(PGR)に調査を要請したと発表した。
この措置は、英紙「The Guardian」が、米国政府がブラジル連邦最高裁への攻撃を促すプロジェクトに100万ドル(約1億6000万円)を充てたと報じたことを受けたもの。
ブラジル連邦政府法務庁は、現在進行中のブラジルの選挙過程を踏まえると、この情報は重大だと評価した。
<背景>
英紙「The Guardian」は9月30日(水)、米国政府がブラジル連邦最高裁への攻撃を促すキャンペーンに100万ドル(約510万レアル)を充てたとする報道を掲載した。
同紙によれば、この取り組みは 「ブラジルにおけるローフェアと検閲への対抗」 と題され、「ブラジル最高裁による過剰な司法行動や検閲とされるものに反対する市民団体を支援する」内容だったという。
この資金は米国議会が 人権・民主主義基金(HRDF) に割り当てた資金で拠出したもので、実際に国外プロジェクトへ送金されたのか、あるいは予算上の確保にとどまったのかは不明とされる。
同紙はさらに、トランプ政権が昨年、ブラジル連邦最高裁のアレシャンドリ・ジ・モラエス判事に制裁を科したことを想起させると指摘。これは「元大統領の息子エドゥアルド・ボルソナロによる圧力を受けたもの」と報じた。
ブラジルのクーデター未遂事件をめぐる裁判で、ジャイール・ボウソナーロ元大統領に27年の禁錮刑が言い渡された際、トランプ政権はブラジル連邦最高裁を批判対象とみなしていた。
また、米国政府は、デジタル空間での犯罪抑止を目的としたブラジル最高裁による米国系プラットフォームへの規制措置にも反発しており、トランプ政権は各国に対し「ビッグテックへの規制を導入しないよう」圧力をかけているとされる。
ブラジル連邦総弁護庁(AGU)は、今回の事案が、米国によるブラジルの制度に対する最近の外部圧力の一連の動きの中で発生していると指摘して、声明で次のように述べた。
「もし事実であれば、外国資本を受け取り、ブラジル国家の主権や司法制度の機能に対する組織的かつ計画的な攻撃を推進する行為は、国際人権保護を目的とする基金を本来の趣旨から逸脱させたものであり、ブラジル国家の内部問題への外部干渉の構造を示す可能性がある」
AGUはさらに、ブラジル法は表現の自由と正当な批判の権利を保障する一方で、外国勢力による国内への干渉を禁じていると強調した。
「ブラジルの憲法秩序は、主権、独立、そして不干渉の原則に基づいている。これらの原則は、例えば外国政府や外国団体による政党への資金提供や従属関係を禁じる規定として表われている」
アジェンシア・ブラジルは、今回の報道について連邦最高裁広報にコメントを求めたが、記事の締め切りまでに回答は得られなかった。
<米国側の資金配分の構造>
「The Guardian」によると、同紙は米国務省の内部資料にアクセスし、マルコ・ルビオ国務長官の管理下で、米国政府が計43件のプロジェクトに総額1億7,690万ドル(約280億円)を割り当てたとする情報を確認した。
同紙は、これらの資金の拠出にはトランプ政権内部の強い圧力があったとし、J・D・ヴァンス副大統領による「欧州の伝統的価値の崩壊」への警告や、スティーブン・ミラー大統領補佐官による「移民への反対と白人少数派支援」キャンペーンなどの意向が反映されていると報じた。
英国向けには、オンライン安全法(Ofcomが監督)やヘイトスピーチ対策法に反対する団体への500万ドル(約8億円)の支援が予定されていたという。
同紙は、これらの法律が「有害コンテンツから子どもを守るための年齢確認規定を含む」と説明し、トランプ政権がこれを「検閲」と批判していると伝えた。
最大の受益者は「共産主義による犠牲者記念財団(Victims of Communism Memorial Foundation)」で、トランプ政権の元内政担当補佐官アンドリュー・ブレンバーグ氏が指導的役割を担っているとされ、同財団には4,000万ドル(約63億円)が割り当てられていた。
米国務省は「The Guardian」に対し、欧州向けプロジェクトは「同盟国が権利と原則を守り、自らの文明的自信と主権を保つための支援を目的とする」と回答した。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)




