サンパウロで音楽家トン・ゼーの生誕90周年記念展覧会はじまる
2026年 10月 8日
バイーア州出身の歌手・作曲家トン・ゼーの90年のキャリアを祝うため、サンパウロの連邦貯蓄銀行(CAIXA)文化センターは、来場者をアーティストの軌跡、影響、発明を感覚的に体感することができるインタラクティブな展覧会を準備した。
「いやあ、子どもに戻ったよ」と、トン・ゼーは6日(火)夜、サンパウロ中心部で展覧会を訪れた際に冗談めかして語った。「喜びで子どもに戻ったんだ。神に感謝したい。そして、これだけの時間を費やして、細部まで全部機能するように作り上げてくれた人に祝福を送りたい」と述べた。トン・ゼーは今週日曜(11日)に90歳を迎える。
「トン・ゼー ― 留まることを知らない音の庭師の90年」と題された展覧会は、1936年10月11日にバイーア州イララー市で生まれた歌手・作曲家の人生と作品を伝える記憶、音楽、さまざまな要素を集めている。
「これはただ“見る”だけの展示ではなく、“体験する”展示です。トン・ゼーの人生のさまざまな瞬間を参照する複数の空間があります」と、キュレーターのネウゼリ・マルチンス氏は説明した。
展覧会は、トン・ゼーの音楽的レパートリー形成に影響を与えた記憶や音楽・文学的参照を紹介する空間から始まる。また、1968年の第4回ブラジル歌謡音楽祭で「聖なるサンパウロ、我が愛」を披露して優勝した場面を振り返るスペースや、ライブ記録、さらにはアーティストの歩みに関するクイズを楽しめる空間も設けられている。
「彼の家を再現した空間、サンパウロでの音楽祭に関連する空間、そして彼が楽器を作り始め、音楽に新しい可能性を持ち込んだ時期を示す空間があります。彼は、既存の音だけではなく、もっと探求すべきものがあると考えていました。新しい音を求めていたのです」と、キュレーターは語った。
来場者は、トン・ゼーが創作した楽器「ブジノーリオ」のレプリカを演奏したり、アーティストへのメッセージを書き残したりすることもできる。

展覧会の最初の訪問者の一人となったのは、トン・ゼーのバンドに32年間所属した音楽家ジャルバス・マリス氏だった。ブラジル通信公社(EBC)へのインタビューで、ジャルバス氏は1988年に友人の紹介でトン・ゼーと出会ったと語った。
「トン・ゼーは『ああ、僕の親愛なる友よ』という感じで、まるで前から知っていたかのように現れたんです」と振り返る。「そして彼は『君のキャリアの2年半を僕と働くために預けてくれないか?』と言った。私は『もちろん』と答えました。そうして、その2年半は32年になったんです。」
ジャルバス氏はその期間、トン・ゼーから多くを学んだという。大衆音楽のダイナミクスの評価から、非伝統的な素材の使用、そして時間厳守まで。
「トン・ゼーは、リハーサルを9時に始めると言ったら、9時に来たら遅刻なんです」と冗談めかして語った。「どんな素材でも楽器に変え、音にして音楽に取り入れる方法をたくさん学びました」
ジャルバス氏は、トン・ゼーの楽曲アレンジでも重要な協力者だった。「彼は非常に創造的で、家でいろいろと仕組みを考えてくるんです。それを私たちが持ち寄り、意見を交わし、アレンジを仕上げる。でも最初の発想はいつも彼なんです」と語った。
トン・ゼーのキャリアは実験性と創造性に彩られている。彼は、音楽や文学など多様な文化領域に影響を与えた前衛的・政治的な文化運動「トロピカリズモ」の主要人物の一人であり、国際的にも高い評価を受けている。2022年からはサンパウロ文学アカデミーのメンバーでもある。
90歳を目前にしても、今なおトン・ゼーは創作を続けている。「朝は人間の機能全体に関わる東洋の実践をしています。それを続ける限り、私は生きていられる、神が望むなら」と語り、「100歳まで行くつもりだ」と意欲を見せた。
キュレーターのネウゼリ氏は、トン・ゼーは創造的な人物であるだけでなく、大きなインスピレーションの源だと強調する。
「彼は10歳から100歳までの人々を刺激します。今も創作し、録音し、さまざまな世代と対話している。その姿勢は本当に驚くべきものです。常に新しいものを探し、物事を違う角度から見ようとする。その姿勢は私たちにとって大きな刺激であり、このオマージュを捧げられることは名誉です」
展覧会は無料で、サンパウロ市セー広場の連邦貯蓄銀行(CAIXA)文化センターで12月13日まで開催される。詳細は同センターのSNSで確認できる。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)



