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ブラジルの復活祭「パスコア」(1) たまご型のお菓子を贈る理由

pascoa

カーニバルが終わって3月中旬から4月ころ、ブラジルのスーパーマーケットや食料品店には、たまごの形をした大きな器を包んだカラフルな包みが、お店中のディスプレイや天井を飾ります。

Ovo de Páscoa(オーヴォ・ヂ・パスコア)と呼ばれるこのアイテムは、チョコレートでできたたまご型の器で、多くの場合中は空洞になっていて、チョコレート菓子やオモチャなどが詰まっています。このオーヴォ・ヂ・パスコアがお店にならびはじめると、もうすぐ「Páscoa パスコア」の季節です。2014年は4月20日がパスコアの日です。

パスコアとは、復活祭。イエス・キリストが十字架にかけられ他界した3日後に復活したことをお祝いする日です。そのため世界各地の、キリスト教の関係するいろいろな国で祝われます。ちなみに英語圏ではイースターと呼ばれています。

しかし、なぜ、イエス・キリストの復活のお祝いに、たまごの型をしたチョコレートを贈り合って祝うのでしょう?

ルーツは、まずは、たまごを贈り合う習慣にあるようです。連邦教育科学技術院ゴイアニア支部の哲学・人間科学部門教職員ハイネル・ソウザ氏によると、たまごを送り合う習慣はキリスト教の概念が誕生するずっと以前からあったのだそうです。

習慣の始まりは、中国だといわれています。贈り物にするたまごは玉ねぎの皮に包んでベテハーバなど色を持つ植物と一緒に煮て、赤などの彩色をしていたそうです。たまねぎの皮を使うのは色にむらができて、模様ができたからだそうです。

やがてたまごを贈り合う習慣はエジプトやペルシャに渡り、草木など自然を表わす絵が描かれ、春の祭典で人々に贈られたそうです。この習慣は、当初は宗教とは関係ありませんでした。その後、習慣はヨーロッパにも広まりました。

キリスト教が伝わる前からヨーロッパでは、春の祭典は人々にとって大事な祭りだったそうです。その昔、人間にとって冬はとても厳しく乗り越えることは大変で、食べ物もなく多くの人が死んでいったそうです。それだけに、冬が終わり春がやってくることを人々は大いに喜び、祭りを開いて春が来ることを大きく祝ったそうです。

当時ヨーロッパでは、ゲルマン民族を中心に、多産や豊穣の象徴としてOstera オステラ(Eostre イオストリ、Ostara オストラとも)という春の女神が崇拝されていました。

オステラは、描かれるときには、いつもたまごを手にしていつもうさぎと戯れているイメージでした。女性、たまご、うさぎ(繁殖力が高く子だくさんで知られる動物)は、多産や豊穣を表わしています。そして、命の始まりであるたまごを贈る習慣は、春の祭典、オステラの祭りと結びついていきました。

この習慣がキリスト教に取り入れられたのは325年以降のこと。聖職者たちは信者を増やしたかったため、古くから大衆的に知られる習慣の中からキリスト教の教義につながるような風習を取り入れていったのだそうです。とくにゲルマン民族にキリスト教を布教するため、復活祭の概念とオステラの春の祭典を結びつけたのだそうです。この頃から、聖母マリアとイエスを描いたたまごを贈り合うことが多くなっていったそうです。

markhillary

今もヨーロッパでは、パスコアの日にたまごを食べると健康でいられるといういい伝えが残っているそうです。しかし、時代と共に、贈り物はたまごそのものから、たまごを象った別のものへと変化していきました。

中世の羽振りのよかった時代、贈り物のたまごは本物ではなく、宝石をちりばめた金で出来たたまごなどを贈るようになりました。“たまごの型の贈り物”が広がるのはこの頃から。そして、庶民の間では手に入りやすい素材でたまごの型が作られるようになっていったそうです。

チョコレートがたまごの型の贈り物に使われるようになるのは、アメリカ大陸の発見後。スペイン人が中南米でマヤ文明やアステカ文明などと接してカカオと出会い、カカオからつくられた新しい食べ物広がってからのこと。最初にチョコレートでたまご型を作ったのは18世紀、フランス人の菓子職人の手によって作られたのだそうです。

参考:

http://www.brasilescola.com/pascoa/a-origem-ovo-pascoa.htm

http://www.conexaoaluno.rj.gov.br/especiais-18.asp

(写真上・文/麻生雅人、写真下/markhillary)
写真上:パスコアの時期、ブラジルのスーパーは天井をはじめ店の中にたまご型のチョコ菓子(オーヴォ・ヂ・ショコラッチ)がずらりと並ぶ。これはガロット社のオーヴォ・ヂ・ショコラッチ
写真下:2014年、スーパーマーケットに並ぶワールドカップにちなんだチョコレート。今年のパスコアではたまご型だけでなくトロフィー型の贈り物もあり!?

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著者紹介

麻生雅人 Massato Asso  ブラジル文化の紹介、文筆、TV・ラジオ番組、ブラジル関連催事企画広告監修、編集、音楽選曲。Mega Brasil編集長。2001年以来、年に数回渡伯してブラジル各地の食文化、トレンド、伝統芸能などを調査。

編著に「A Boa Vida」(三越伊勢丹ホールディングス)、「A Boa Vida 2015」(三越伊勢丹ホールディングス、※サイトのみ)、「ブラジルカルチャー図鑑(共同編集:山本綾子)」(スペースシャワー・ブックス)、「ブラジリアン・ミュージック」「サンバ」(以上シンコー・ミュージック)など。「るるぶ ブラジル・アルゼンチン」、「R25」、「アウテルナチーヴァ」など旅行ガイド、雑誌、ブラジル音楽CD解説などにも執筆。

出演は「ボサノバ最高の詩人モラエス」(NHK-FM 13年11月)、「日曜喫茶室」(NHK-FM 14年5月)、「爆笑問題の日曜サンデー」(TBSラジオ 14年6月)、「ブラジルまるかじり紀行」(NHK-FM 14年6月)、「ブラジルまるかじり紀行2」(NHK-FM 15年6月)、「今日は1日ブラジルまるかじり三昧」(NHK-FM 16年7月)、「ノンストップ」~<そもそもシュラスコとは何?>(フジテレビ 16年8月)など。

講演は「第一回ブラジル食品展示会」(駐日ブラジル大使館 16年2月)、「第二回ブラジル食品展示会」(駐日ブラジル大使館 16年8月)、「ブラジルはなぜカラフルなのか」(パナソニックセンター、16年8月)、「カラフルでおいしいブラジル」(LunchTrip 16年10月)、「ブラジル食品飲料市場の最前事情 国内地方産物への注目とQOL志向の高まり」(日本ブラジル中央協会 17年1月27日)、「カシャッサを楽しむ会」(東京カシャッサ倶楽部 17年6月3日)、「OTOMANA×トラモンティーナ ブラジル大使館での文化体験と本場シュラスコ料理」(三越伊勢丹・駐日ブラジル大使館 17年7月19日)、「カシャッサの日を祝う会」(駐日ブラジル大使館 17年9月13日)など。 )。

最新刊は「おいしいブラジル」(スペースシャワー・ブックス、16年)