ブラジルで、グルテンフリーなど機能性食のパン屋が話題に

2017年 02月 1日

パォンジキヌア

ブラジル製パン製菓業協会(ABIP)の関連団体である製パン製菓技術研究所(ITPC)によると、2015年の時点だけでもブラジルで稼働しているパン屋は6万3000軒あるという。

パン屋の市場が成長していく一方で、食事制限に役立つ健康的なオプションへの注目の高まりも、この分野の市場で強い傾向として見られるようになった。TVグローボの経済情報番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」ネット版が、グルテンフリーに着目するパン屋事情を伝えている。

機能性食パン屋「グラォン・フィーノ」(サンパウロ市ペドローゾ・アウヴァレンガ通り672番)創業者のエリカ・シュステルさん(34)は、ブラジル人の間で食に関する意識の変化が起きていることを指摘する。

「多くのブラジル人は以前にくらべて食に関する意識が高まっています。多くの人々は、もう知っているのです。より健康的な食生活を送るためには、いくつかの素材とさよならをしなければいけないということを」(エリカ・シュステルさん)

「グラォン・フィーノ」の創業は2014年。当初は、エリカさんが自宅で調理した健康的な食事を冷凍してデリバリーするところからスタートした。2016年、健康に良く機能性を持ったパンを作る必要性を感じて店舗を開店した。

今日では「グラォン・フィーノ」には、パン、タルト、ケーキ、サンドイッチ、パスタ、スープなどすべてのアイテムがグルテンフリー、ラクトースフリー(乳糖フリー)で、朝食から夕食にまで対応する。グルテンフリーで再評価が高まるポンジケージョや、持ち帰り用の冷凍した食事メニューもある。現在、サンパウロ内でのフランチャイズ展開を検討している。

健康的な意識の高まりに伴う需要に応えるため、さらにいくつかのパン屋がグルテンフリー、ラクトースフリー(乳糖フリー)、シュガーフリーのケーキやタルトを開発している。「サボール・ジ・サウージ」(ヴィラ・モンチアレグリ地区ファグンデス・フィーリョ通り923番)のオーナー、エリザベッチ・ニコラウさん(62)もそんな中のひとりだ。

「それは成長している市場です。ただし、市場は一般大衆ではなくセグメントされたものなので注意も必要です。ラベルを見るだけで何も買わない人もいます」(エリザベッチ・ニコラウさん)

「サボール・ジ・サウージ」の歴史は、2007年に、注文を受け、作ったパンを車で自ら配送する形でエリザベッチさんが自家製パンを販売しはじめたことから始まった。栄養士でもある娘のサポートを得て、2万レアルを投資して店舗を開店させた。内装は年月とともに変化しており、現在は店内に、ミニマーケットやカフェを飲めるスペースもある。会社の売り上げは月平均で8万レアル。

メニューには、グルテンフリー、ミルクフリー、シュガーフリー、大豆フリーのパンやスナック類、パスタやピザまでが並ぶほか、それらのレシピも紹介している。例えば、同店で、パォンジケイジョに相当するパンではチーズ不使用。キヌアの粉を使ったパォンジキヌアとなっている。

食品アレルギーの問題や食事制限に応えてくれる店をを探すと人が多くいる一方で、品質の良い食品を探すために機能性食品のパン屋を探す人もいると、手作りのケーキもある軽食カフェ「リロイ」(ジャルジンパウリスタ地区、ペイショット・ゴミジ通り1486番)の経営陣のひとりマリアーナ・アビビ・ピエッヒさん(33)はいう。

「私は、グルテン、ラクトース(乳糖)、大豆に対する不耐症である息子のためを想って『リロイ』をオープンしました。しかし今では私の店の顧客は、50%が食品不耐症の方々で、残る50%は健康的で栄養価の高い食事を求める人です」

「リロイ」のメニューには、セリアック病、さまざまな食材の不耐症の人への対応だけでなく、疾患はなくても健康志向を持つ人々のために、グルテンフリーのパンを使ったハンバーガーや、オーガニック鶏肉を使ったコシーニャのほか、カカオのブラウニーやブリガデイロといった機能性スイーツもある。

マリアーナさんは2年前、「リロイ」の創業に80万レアルを投じた。2016年にはショッピングセンター「パチオ・イジエノーポリス」に支店を出している。

(文/麻生雅人、写真/Divulgação)
写真は「サボール・ジ・サウージ」のパォンジキヌア