ブラジル証券取引所で4年ぶりの大型上場
2017年 12月 17日日本は12月に入り株式市場への新規上場(IPO)が相次ぎ、新銘柄のニュースが連日伝えられているが、今年はブラジルでもIPOが多かったようだ。
そんな2017年の締めくくりともいえる大型IPOが、市場を賑わわせている。
グローボ系ニュースサイト「G1」他現地メディアが12月15日づけで伝えたところによると、ブラジル石油公社(以下「ペトロブラス」)傘下の石油流通業者ペトロブラス・ディストリブイドーラ(以下「PD」)が同日付で上場したという。
PDの上場は今年の上場銘柄としては11番目にあたる。
今回の上場は新株発行と旧株売出を組み合わせたもので、大株主ペトロブラスは今回、PDに対する持分の30%にあたる株式を売出した。
ペトロブラスはこの売出により得た資金50億レアル(約1700億円)を借入の返済に充てると見られている。
公募・売出価格は1株15レアルとなったが、上場直前の需要申告(ブックビルディング)時に提示されていた仮条件の価格レンジ、15~19レアルの下限だったことから、需要は想定より低かったことが推測される。
仮条件決定時期に、国会での社会保障改革法案の採決が2018年にずれ込む可能性が報じられ、経済の回復に影響するとみた投資家が値付けに消極的になったことが公募・売出価格の決定に影響したとみられる。今回IPOで市場に放出された株数は3億3500万株だったが、当初予定されていた2億9125万株よりも15%上積みされた。
仮に上限額で売り出されていれば、ペトロブラスの資金調達額は70億レアル(約2400億円)を超えていたことになる。
とはいえ、法案採決延期という外的要因だけが価格の上値を押さえたわけではない。クレディ・スイスは顧客向けに出したレポートで、PD株式について「精査を要する」と記載した。
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(文/原田 侑、写真/Divulgação/Petrobras)