「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展が開会

2018年 06月 30日

先住民の椅子

6月30日(土)から東京都庭園美術館にて「ブラジル先住民の椅子 野生動物と想像力」展の開催がはじまった。

同展示は、ブラジル、サンパウロにある出版社のベイ社が20年以上かけてコレクションした、ブラジル各地の先住民の椅子(25以上の民族、350点)のうち、選りすぐった17民族の椅子、92点を紹介するもの。

同コレクションは普段は一般公開されておらず、国外に貸し出されて行われる展示も、今回が初となる。アンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使閣下の紹介により、日本での展覧会が実現する運びとなったという。

先住民が作る椅子はすべて手作りで、切り倒した巨木を分割して、ほとんどが分割された丸太を削りだして作る一木造りで、寄木造りではない。一本の木からは通常、10個の椅子が作られるという。

椅子の用途や習俗は部族によって異なるようだが、本展示では、A:日常生活の中で使われる実用的な椅子、B:宗教的な儀式の際に使われる椅子、C:動物彫刻といえる民芸アートとして作られる椅子の3つのカテゴリーに分けて紹介する。

先住民の椅子

Aの実用性やしきたりに基づく伝統的な椅子では、動物の造形がほどこされていないシンプルな形のものが多い。幾何学的な文様が描かれているものもあるが、これらの文様は先住民が行うボディペインティングの図形と共通している場合もあるという。

同美術館の大木香奈キュレイターによると、両端に紐がついている椅子は持ち運びをするためのもので、狩猟の際に使ったものではないかと推測できるという。

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(写真・文/麻生雅人)

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