世界最大級の淡水魚ピラルクー

2018年 09月 29日

ピラルクー

世界最大の淡水魚のひとつピラルクー(ピラルクとも表記される。学名Arapaima gigas)は、アロワナ目アロワナ科の魚。南米アマゾン川流域が原産で同地域に分布している。大人になると体長は2~3m、体重は100~200kgになる。

市場では塩漬けされて天日干しされた状態で並ぶことが多く、“アマゾンのバカリャウ(たら)”とも呼ばれているという。小骨はほとんどなく、味も身の肉質もいいため、人気が高い。そのため何年にもわたって乱獲されてきたことから、絶滅が危惧されている。

ワシントン条約の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」では附属書Ⅱ(現在は必ずしも絶滅のおそれはないが取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそ
れのある種となりうるもの)のリストに掲載されているほか、ブラジル環境・再生可能資源院(IBAMA)によっても漁は制限されている。

世界自然保護基金(WWF)ブラジル支部によると、Pirarucu(ピラルクー)という名は、魚を意味するPira(ピラ)と、赤色を意味するUrucu(ウルク)というふたつの先住民の言葉がもとになっているという(ピラルクーは尾の方が赤色をしている)。

また、エラ呼吸と、うき袋を肺のように使う空気呼吸と、呼吸の機能を2種類持っているのもピラルクーの特徴のひとつだ。

生息地は湖や河川の支流などで、24~37度の澄んだ水の中。流れの強い場所や沈殿物の多い場所では見られない。

食性は雑食で、動物も植物も食べる。果物、虫、昆虫、軟体動物、甲殻類、魚類、両生類、爬虫類、さらに水鳥までもがエサとなる。

乾季にはオスとメスが行動を共にするようになり、この時期、オスはボディの赤色が強みを増す。

そして川床にメスが安心して卵を産めるように、オスは産卵場所の準備を整える。まずは、お産を行うために選ばれた川底に生えている植物の枝や根を強靭な顎をつかって取り去り、川底に円形の窪地を作る。メスが卵を孵化させるまで、お産場所の近くを回遊して外敵からメスや卵を守るのもオスの役割だ。卵は8~10日で孵化する。

(文/麻生雅人、写真/Adriano Gambarini/OPAN – Divulgação)