日系三世の演歌歌手、山城カミーラ美幸

2013年 12月 13日

山城カミーラ美幸

2012年に「京都浪漫坂/望郷浜太鼓」でデビューした演歌歌手の山城カミーラ美幸は、ブラジル南部パラナ州のクリチバからやってきた日系三世。2013年3月には「海猫節/佐渡海峡」も発表した。

演歌を歌うブラジル人といえば、2003年に「第45回日本レコード大賞」で新人賞を受賞して話題になった南かなこもいた(2012年に結婚と共に引退している)。2010年にはサンパウロ出身のホベルト・カザノバが「NHKのど自慢」チャンピオン大会にて、五木ひろしの「契り」を歌って優勝している。

それにしても、どうしてこうも次々とブラジル人が日本の演歌界で名をあげているのだろう? 

ブラジルでは日本の各県の県人会が主催するカラオケ大会が毎週いくつも開催されていて、カラオケのためにボイストレーニングを受けている人も少なくないという。

また、県人会の協力のもとに、各州で選抜歌謡大会も開催されている。1986年からは、ブラジル歌謡協会(ABRAC)が主催して全国選抜大会も行われている。先述のホベルト・カザノバも、同大会の優勝経験者だ。1998年には、ブラジルの日本人移民90周年事業の一環として、「NHKのど自慢大会」の初の海外公演がサンパウロで行われている。

そんなふうに日本の歌に親しむ機会が身近にある上に、ブラジルの日系社会の中には、古き日本の良さを受け継いでいる方々も少なくないというのも、演歌好きのブラジル人を育てる土壌となっているのかもしれない。

日系社会で育ったカミーラさんは、おばあさんから着物の文化を学び、着付けもひとりでできるという。

また、演歌業界ならではのドサ回り営業も、へこたれず楽しんでいるというカミーラさんは、舞台での観客のいじり方も堂に入っていて、大物歌手にも負けない度胸の持ち主だという。そんなおおらかでハートの強いキャラクターからは、ブラジルらしさがうかがえる。

今や日本の歌謡界は、演歌の歌い手にとって決して恵まれた環境ではないかもしれないが、日本を愛する心とブラジル仕込みの精神力で、山城カミーラ美幸は今日も、演歌を歌う。

山城カミーラ美幸 プロフィール

出身:パラナ州の州都クリチバ市出身
居住:千葉県
好きな食べ物:母の手料理、サバの缶詰
好きな歌手:川中美幸
好きな番組:笑点
好きな色:黄色
歌の師匠:佐田みさき
星座:山羊座
誕生日:1990年12月23日
血液型:O型
趣味:日本文化(着物等)、旅行、ゴルフ、ゲーム、漫画
チャームポイント:人懐こい

(文/加藤元庸、写真提供/フリーボード)