ブラジルにも“青いサンタクロース”が出現
2013年 12月 21日ブラジル、リオデジャネイロに青いサンタが現われた。実は、“青いサンタクロース”は世界各地で目撃されている。
青いサンタの事情は、各地でまちまちだ。イギリスのリバプールで開催される、サンタの衣装で行うマラソン大会「サンタダッシュ」では、赤いサンタと青いサンタが入り乱れる。これは、赤が地元サッカーチーム、リバプールのチームカラーであることから、ライバル・チームのエバートンのサポーターたちが、エバートンのチームカラーの青いサンタの衣装を着用するためだ。2013年12月1日(日)には、青いサンタのみ参加できる「ブルースーツ・サンタダッシュ」も開催された。
また、ロシアではサンタクロースの役割を民間伝承の精霊ジェド・マロースが果たしているそうだが、このジェド・マロースは青い衣装が定番だという。
さて、リオデジャネイロに表われた青いサンタの正体は、リオのスラム街における常駐の軍警察治安維持部隊(Unidade de Polícia Pacificadora)、通称UPP(ウー・ペー・ペー)の警官。軍警察のシンボルカラーが青だから、青いサンタに扮している。
青いサンタと、緑色のふたりの妖精が現われたのは、リオ市北部のヴィラ・イザベウ地区にあるモーホ・ドス・マカコスというファヴェーラ。12月17日づけ「フォーリャ」(電子版)などが伝えた。
UPPが常駐するようになる以前、3年前まで、犯罪組織「友達の友達(ADA)」に支配されていたこのコミュニティにはびこっていたのは、麻薬だった。この日サンタが数百人の子供たちに配ったのは、地元の商店から入手した約600のおもちゃだった。
この地域の4つの学校に通う子供たち300人弱が、お願いの手紙を書いていて、プレゼントは警察と民間人の手で用意された。
「UPPの理念は、地域の住人たちに、ここは自分たちの街なんだと自覚してもらい、私たち警官はコミュニティのために働き、みなさんに信頼してもらえる存在であり、また自分自身、愛情と誇りをもって職務につけることです」
そう語るのは、この地域のUPPを指揮するマルシオ・ヂ・アウメイダ・ホッシャ大尉(29歳)はリオの軍警察で活躍する新世代の指揮官だ。同大尉は、ボタフォーゴ地区にあるモーホ・ドナ・マルタ、北部にあるモーホ・ド・アンダライの部隊の指揮も兼ねている。
UPPは、ホッシーニャ地区のUPP警官によるアマリウドさん殺害事件が起きたことから非難を浴びていたが、「UPPの設置以降、麻薬や暴力による犯罪は明らかに減少しています」(マルシオ大尉)という面もある。
(文/麻生雅人、写真/Tânia Rêgo/Agência Brasil)
写真は12月17日、リオデジャネイロ市ヴィラ・イザベウ地区のモーホ・ドス・マカコスで孤児院の子どもたちにプレゼントを配る、UPP警官扮するサンタクロース