ワールドカップに向けてクイアバの宿泊施設が4000%の値上げ。日本人ジャーナリストの告発で明るみに
2014年 01月 12日2014年のワールドカップブラジル大会。6月24日に一次リーグで、日本がコロンビアを相手に第3戦目を戦う予定となっているクイアバで、宿泊施設の法外な価格が提示されていたことを2013年12月16日付け「UOL エスポルチ」(電子版)が伝えている。
法外な値上げを提示していたのは、宿泊施設や移動手段の予約ポータルサイト「Decolar.com」、「Booking.com」と、マットグロッソ州クイアバにあるホアリ・ホテル。ワールドカップ期間中の同ホテルの宿泊料金を約4000%も値上げしていたという。
ホテルはこの期間の宿泊に関して、直接ホテルでは予約を受けず、すべて上記のポータルサイトを通じて行うことにしており、同サイトが提示していた一泊の価格は、130ヘアイス(レアル)(約5700円)から6000ヘアイス(レアル)約26万4600円まで開きがあったとのこと。
この違法な値上げは、消費者保護院(Procon)マットグロッソ州支部に日本のジャーナリストが訴えたことで表ざたとなったという。ジャーナリストは2013年12月6日に1次リーグの抽選結果が発表された後、日本戦の取材のために宿泊施設をオンライン予約しようとしたと試みて、「Decolar.com」、「Booking.com」の両サイトでホアリ・ホテルに6月24日の部屋の空きがあるのを見つけた。
ところが価格は、安くて4200ヘアイス(レアル)約17万6400円、高くて6000ヘアイス(レアル)約26万4600円という法外なものだった。ジャーナリストは同業者でもあるブラジル人の友人に相談した後、消費者保護院に訴えた、同センターが調査した。
消費者保護院マットグロッソ支部のジゼーラ・シモーナ監督官は「UOL エスポルチ」に対して「約4000%という値上げがされていました。クイアバに宿泊する旅行者が2泊したとき、ホテル代だけで8000ヘアイス(レアル)約35万2800円使うなんてありえない。あってはならないことです」と答えたという。
消費者保護院の調査によると同ホテルは3つ星ホテルで、平常時の宿泊料金は、単身一部屋で130ヘアイス(レアル)約5733円、2名ジャグジー付きの部屋で350ヘアイス(レアル)約15400円だった。
価格差について消費者保護院がホテルを問いただしたところ、ホテルは、予約に関しては「Decolar.com」と「Booking.com」の両サイトと契約しているので価格も両サイトが決めていると回答。消費者保護院が両サイト、およびホテルに罰金の支払いを提示したところ、ホテルは、両サイトとの契約は解消したとセンターに報告してきたという。報道の時点で両サイトからの返答はなかったという。
ただし、「Decolar.com」は「UOL エスポルチ」の質問に対して、価格を決めたのはホテル側だと答えているという。「Booking.com」は未回答だったとのこと。
ジゼーラ・シモーナ監督官によると、両サイトとホテルによるこれらの値上げは、消費者保護法39条により明らかに違法と認められるという。「これらのケースでは罰金の支払い義務と、場合によっては将来の営業停止処分も考えられます」
また、ジゼーラ監督官は消費者保護院の代表でもあり、今後クイアバに限らずワールドカップ開催12都市で同様の問題が起きないように監視すると同時に、報告を呼びかけた。
100軒近いホテルがあるクイアバで、このような違法な値上げを提示していたのは同ホテルだけだったとのこと。
※為替は1ヘアウ(レアル)44.099958円で換算。
(文/麻生雅人、写真/Getty Images South America)
写真は2013年12月13日、工事が続けられているアレーナ・パンタナウから望むクイアバ市街