軍事クーデターから50年。ブラジル弁護士会は「ブラジルの傷はまだ癒えていない」と表明

2014年 04月 1日

OAB

ブラジルで軍事クーデターが起きたのが今から50年前、1964年3月31日。3月31日、ブラジルでは軍事政権時代を振り返るさまざまな発表や会議などが行われた。

ブラジル弁護士会(OAB)は軍事クーデター50周年のこの日、「繰り返さないために」と題した討議集会をブラジリアで開いたことを、同日、ブラジル弁護士会(OAB)が報告した。

この集会には、軍事独裁政権の政治的迫害から人々を守るために行動した弁護士たちが集まり、ブラジルの歴史の中で最も暗い時期を物語るビデオプレゼンテーションと、書籍の紹介が行われた。

「長く続いた全体主義体制によって受けた我が国の傷は、まだ完全に癒されていません。自分の愛する人は死んだのではないかと、今も、来る日も来る日も考えているような、親類の居所が未だに不明なままで、苦しんでいる家族はまだたくさんいます」(マルクス・ヴィニシウス代表)

ブラジル弁護士会のMarcus Vinicius Furtado Coelho マルクス・ヴィニシウス・フータード・コエーリョ連邦代表は、ブラジルが二度と同じ過ちを繰り返さないために、過去に何があったかを覚えておくことは重要だと語った。

「私たちは独裁政権の時代を分析する必要があります。独裁という状況こそが、不公正な国にしてしまった時代の始まりを汚染した根源です。私たちはそういた問題を知ることで、悪しき状況を防ぐことができるでしょう」(マルクス・ヴィニシウス代表)

ビデオでは、1977年~79年にOABの連邦代表を務めたRaymundo Faoroハイムンド・ファオロにオマージュが捧げられていた。ハイムンド元代表は当時、一般市民と軍事政権との間に立って、独裁政権の最後の年に恩赦と人身保護令状のことで駆け回った。

「私たちは民主主義の英雄のことを思い出すために集まりました。1964年の軍事クーデターの50年後、私たちの国の大きな過ちを思い返すのです。憲法に反し、それがないがしろにされた恥ずべき時代のことです。そんな時代に勇気をもって戦った人々、男性も女性もがいたことを、誇りに思います」(マルクス・ヴィニシウス代表)

José Eduardo Cardozo ジョゼー・エドゥアルド・カルドーゾ法務大臣、アニスチア委員会のPaulo Abrão パウロ・アブラォン代表、法学者のFabio Konder Comparato ファビオ・コンデール・コンパラート、高等労働裁判所(TST)のDelaíde Alves Miranda Arantes デライーヂ・アウヴィス・ミランダ・アランチス判事、José Mentor ジョゼー・メントール下院議員、法務省のFlávio Caetano司法改革局長、連邦最高裁判所(STF)のSepúlveda Pertence セプウヴェダ・ペルテンシ元判事、Técio Lins e Silva テシオ・リンス・イ・シウヴァ弁護士、国家公共省でカウンセラーも務めるEsdras Dantas de Souzaエスドラス・ダンタス・ヂ・ソウザ弁護士、第1連邦地方裁判所のKássio Nunes Marquesカシオ・ヌニス・マルキス裁判官も、この会合に出席した。

(文/麻生雅人、写真/Antônio Cruz/Agência Brasil)
2014年3月31日、ブラジル弁護士会(OAB)は軍事政権時代を振り返る会合を開催した