YAHOOスポーツのコラムニストがIOCの姿勢を批判

2014年 05月 1日

912758-pezao_paes

リオデジャネイロ・オリンピックに対してIOCが不満を述べているという。ヤフー・スポーツのコラムニストDan Wetzel氏が「Yahoo! Sports」(5月1日付け)に投稿している。

オリンピック開催までに2年を残す現時点で、IOCからはメディアを通じて、不満足で攻撃的で要求の多いコメントばかりが溢れ出てきているという。今週はIOC副会長のジョン・ コーツ氏が 「現段階では前例のない酷い準備状況で、私が経験した中では最悪だ。非常に心配になってきた」と述べたそうだ。

インフラがIOCが考える通りには整っておらず、大規模なプロジェクトを準備するために一晩中働き尽くめになるような働き方をすることに慣れておらず、国内の人々の生活を犠牲にしてまで公共資金をじゃぶじゃぶつぎ込めない、といったことは解っていたにも関わらず、リオで国際的なスポーツの祭典を開催することに合意したのはIOCだと、Dan氏はいう。

IOCは計画と予算が出された時、必要施設の多くが既にしっかり整っていたシカゴよりもリオを選んだのだ。

しかし、Dan氏はいう。これがIOCなのである、と。世界中の国々やオリンピックの開催地を選ぶ人々は、そろそろこのようないうゲームを止めなければならない、とも。

確かに準備という観点からはリオは最低なのかもしれないが、IOCは毎度どの国でオリンピックが開催されようと、同じようなことを言っている。

また、Dan氏はFIFAにしても同じだという。FIFAが繰り返す準備対応への不満は、ほとんど想定されてきたことだからだ。

計画された施設に近いエリアの一部には犯罪のメッカであったファヴェーラがあること、あるいは、情緒や感情によって態度を決める大衆に左右されるポピュリズム政治と、労働者のストライキが多い国であること、または不快な臭いを放つ汚染された水路 (ニューヨーク·タイムズ紙は、リオの下水のわずか35%しか処理されていないと報告)は問題で、飲料水の水質には大きな課題があること、全て承知で始めたことなのだという。

リオはリオであり、それは今まで人々が楽しんできた、変わらないリオである。Dan氏にいわせるとIOCは、国が抱える負の部分を改革して、まったく新しい壮大なスポーツの運動場に作り変えることができると、ブラジルの政治家に妄想を抱かせただけ。実は何も変わらないのだという。

「たぶん、FIFAやIOCは私たちにデカすぎる妄想を実行させたい様子で、オリンピックが開始されるその瞬間まで、私に文句を言い続けるでしょう」

エドゥアルド・パエス・リオ市長は4月21日の週にブラジルで記者団に語ったという。

「IOCはスタジアムについての様々な要求を突きつけてくるが、私はそれを受け入れられないでしょう」

パエス市長は、リオ市にゲームを観戦できる20,000席のテニス施設の建設を要求してきた国際テニス連盟のFrancesco Ricci Bitti氏の例を挙げて、リオ市にそのような規模の施設は不要であることを説明した。

「私の焦点は私たちの市のために遺産を創ることです」(パエス市長)

Dan氏は、各国際スポーツ連盟の要求は、競技場にしかないという。リオデジャネイロは、色鮮やかでユニークな生活の営みのある素晴らしい場所なのだから、オリンピックがリオに彼らのゲームをステージングしたいなら、ブラジル人があるがままの姿で、ふだんと同じような視点で大会を設定すべきだという。悪い面も良い面も受け入れ、そこで暮らす人々のことを理解して、その地域の人々にある程度任せることが大事なのだ、と。

「郷に入らば郷に従え」。リオのストリートパーティーに混ざりたいなら、テニス競技場の大きさを気にするのは止めることだ。これがDan氏の言い分だ。

(文/加藤元庸、写真/Tomaz Silva/Agência Brasil)
4月28日に抗議デモがあったコンプレクソ・ド・アレマォンで、破壊活動の舞台となった救急センターを訪ねたルイス・フェルナンド・ペザォン・リオデジャネイロ州知事(右)とエドゥアルド・パエス・リオデジャネイロ市長(左)