ジョイス・モレーノ、2014年の来日公演も気鋭メンバーを起用

2014年 07月 12日

ジョイス

ほぼ毎夏恒例となっているジョイス・モレーノの来日公演の季節がやってきた。

今年もおなじみ、公私共に渡るパートナー、トゥッチ・モレーノを擁する自身のバンドによる公演だが、常にクリエイティヴなジョイス。マンネリには陥らないように、今年の公演にも仕掛けがちゃんと施されている。

まずはレパートリーに関してだが、今回は、吉田和雄プロデュースによる新作アルバム「ハイス~私のルーツ~」を発表したばかりということもあり、同作品からのレパートリーの演奏が予想される。

初録音から50周年を迎えるというジョイス、同アルバムは、キャリアをスタートさせた(サンバカーナのコーラス)1964年まで遡り、カヴァーするという企画作品となった。

ただし、カヴァー企画といっても、ジョイスのことだ。“カラオケ気分の名曲焼き直し集”であろうはずがない。選曲も、本当に彼女自身に想い出深い曲が厳選されている。彼女が聴きこんできた曲や、これまでのキャリアの中で想いで深い曲を、国内外で共に演奏している現在のバンドでカヴァーするとどうなるか!? いう企画作品となっている。

たとえば、自宅を若い音楽家に開放して音楽実践サロンのようにしていたというルイス・エサの「タンバ」には、多くのことを教わった恩師でもあるルイスへの想いがこめられている。

ここでジョイスが取り組んだのは、今の彼女がからこそ出すことができる、ルイスへの返答。ジョイスのバンドでは、気鋭ピアノ奏者エリオ・アウヴィスが、ルイス・エサのピアノラインを彼なりの解釈で再現している。来日公演にもエリオは同行しているので、この曲も、今回の公演の聴きどころのひとつとなりそうだ。

メンバーは、ジョイス(Vo,g)、トゥッチ・モレーノ(dr)、エリオ・アウヴィス(p)、ブルーノ・アギラール(b)。

「ハイス~私のルーツ~」では、ベース~コントラバス、はジョイスのバンドで長年活躍するホドリゴ・ストロエテルが務めているが、来日公演メンバーのクレジットにはブルーノ・アギラールの名がある。

このブルーノ・アギラールは、6月にコットンクラブで公演を行ったビアンカ・ジスモンチの「ソーニョ・ヂ・ナシメント」にも参加している、インスト界で活躍する気鋭の演奏家。

アントニオ・ロウレイロやジョアナ・ケイロスなどとも交流の深いブルーノが来日するとなれば、ブラジルのインスト音楽ファンにとっても楽しみなところ。この公演を見逃すことができない十分の理由となるだろう。

7/12(土)、13(日)
会場:コットンクラブ
[1st] open 4:00pm / start 5:00pm
[2nd] open 6:30pm / start 8:00pm
www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/joyce/

7/15(火)、16(水)
会場:ブルーノート東京
[1st] open 5:30pm / start 7:00pm
[2nd] open 8:45pm / start 9:30pm
www.bluenote.co.jp/jp/artists/joyce/

(文/麻生雅人、写真/Leo Aversa、写真提供/コットンクラブ)