安倍首相、ジウマ大統領と会談。官民一体となってブラジルとの互恵的協力関係を推進へ
2014年 08月 3日【ブラジリア共同=橋本昌明】中南米歴訪中の安倍晋三首相は(8月)1日午前(日本時間同日深夜)、最後の訪問国ブラジルの首都ブラジリアでジウマ大統領と会談した。
両国は共に国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指しており、安保理改革の早期実現へ連携を強化する方針を確認。首相は首脳・外相会談の頻繁な定期化も呼び掛ける。デジタル放送や減災などの分野での協力推進でも一致する見通しだ。
首相は会談後の共同記者発表で「ブラジルには深海油田などエネルギー分野で投資の機会がある」と述べ、資源開発への意欲を示した。経済交流に関し「官民一体となってブラジルとの互恵的協力関係を推進していくことで一致した」と強調した。冷え込んでいる中国との関係にも触れ「首脳会談はできていないが、経済的には切っても切れない関係だ」と説明した。
国連改革をめぐっては常任理事国入りに向けて日本、ブラジルに加え、インド、ドイツの4カ国グループ(G4)が取り組みを進めている。
両首脳は会談で海洋資源の開発や、医療・保健に関する協力で合意。会談後、ブラジルの海底油田開発を促すため、日本の技術を導入した巨大洋上基地建設を明記した海洋資源の開発促進に関する共同文書を出す。
首相は、世界有数の穀物輸出国ブラジルの農業を全面的に支援する考えも表明。輸出をさらに増やせるよう、日本側は農産物の輸送路や港湾をはじめとするインフラ整備を後押しする。
首相はブラジルの新薬に関する安全審査手続きを迅速化するため、日本の技術提供を表明。2016年リオ・デ・ジャネイロ五輪の開催準備状況について意見を交わし、20年東京五輪の参考にしたい意向だ。
(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Wilson Dias/Agência Brasil)
8月1日、イタマラチー宮で昼食を共にする安倍首相(左)とジウマ大統領(右)