デング熱対策、ブラジル、リオデジャネイロで共生細菌に感染させた蚊を自然界に放出。改良蚊がデング熱伝染をブロックする仕組みとは!?

2014年 09月 26日

デング熱対策 共生細菌蚊

オズヴァウド・クルス財団(Fiocruz)は、9月24日(水)よりリオデジャネイロで、デング熱(デンギ)に対抗する革命的な方法の実験を開始した。

プロジェクトチームはこの日の朝、リオ市北部のイーリャ・ド・ゴヴェルナドールにある、人口約3000人のトゥビアカンガ地区で、研究所で操作された蚊を放出した。

計画では毎週、約1万匹のネッタイシマカが放たれる予定。この蚊は全てボルバキアという共生細菌に感染しており、自然の環境の中に放たれることで、蚊によるデング熱病の伝染を止めることができる。

計画の第一段階が始まったのは2年前。地域住民の協力を得て研究者たちは蚊の数をモニタリングした。

この感染した蚊の計画は、「デング熱撲滅:私たちの挑戦」という非営利プロジェクトとして2009年にオーストラリアで始まったもの。

ブラジルでの計画の主任を務めるルシアーノ・モレイラ氏は、実験は3~4か月行われ、2014年末までにはトゥビアカンガの蚊は全てボルバキアに感染してデング熱の感染から解放できるであろうと説明した。ただし結果は、その地域でのボルバキアに感染蚊の能力にもよるとのこと。

「この細菌はネッタイシマカの体内に保有されると、デング熱ウィルスをブロックします。実際に数が減少したかどうかを確認するには約1~2年が必要です」(モレイラ氏)

住民が不快にならないように地域の蚊の個体数は変えずに計画を行うため、地域のネッタイシマカが繁殖しないようにした後に、同地域に感染蚊が放たれた。

(上記図版の解説)

蚊の自然な営みによる増殖を利用している

オス、メス共にボルバキアを保有している蚊のカップルから生まれた蚊は、すべてボルバキアを保有する。

オスはボルバキアを持たず、メスがボルバキアが保有している蚊のカップルから生まれた蚊も、同じくすべてボルバキアを保有する。

オスがボルバキアを保有、メスが保有していない蚊のカップルから生まれた蚊は、たまごを産んでもその卵は孵化しない。

ボルバキアは代々、保有している蚊の子孫に受け継がれていく。

(次ページへつづく)

(記事提供/Agência Brasil、訳文/麻生雅人、図版/Fiocruz/Divulgação)

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