ブラジルの公立高校生たち、インドで開催される数学世界大会に出場

2014年 11月 11日

公立学校数学オリンピック

サンパウロ市南部の公立高校生たちが数学の世界大会に参加するため、インドに渡ると(11月)8日付「フォーリャ」紙が報じた。

サンパウロ市南部ジャルジン・アンジェラにある公立校の生徒7人は来週、普通の高校生は到達し得ない所に到達する。世界40カ国の学生が参加する数学、ロボット工学、科学のコンテストに参加するのだ。

彼らの学んでいる州立ルイス・マガリャンエス・デ・アラウージョ校には国境なき数学オリンピックで入賞したクラスがあり、知識の五輪プログラムネット(RedePOC)が、このクラスの生徒をブラジルの他の五つの高校(内、公立校は一つだけ)の生徒と共に、”クアンタ”と呼ばれるイベントに招待した。

クラスの中で誰がインドに行くかは生徒たちが決めたが、担任のマリア・コンソラドーラ・ダ・シウヴァさん(通称ドーラ)が果たした役割は大きい。

シウヴァさんは教科書などを出版する会社がインドまでの旅費を出してくれるよう交渉。また、生徒たちにヒントを与えてオンラインでカンパを呼びかけさせた結果、複数の企業が関心を示し、雑誌「ヴェージャ」を出版しているアブリウ社の社長夫人、マリア・アントニア・シビタ氏が援助を申し出てくれた。

試験は英語で行われるため、高校3年生7人は大会前に少しでもと、英語の習得に励んでいる。

今回のイベントに参加する生徒たちは大学入試も控えており、8日、9日にはEnemを、11月末にはFuvestも受験する。1日の平均学習時間は12時間だ。

生徒たちは、ハードなスケジュールの中でも今回の旅行を楽しみにしている。「新しい文化を知り、今まであったことのないような人にあって、自分の視野を拡げたい。そしてなにより、今後勉強して行くために人として成熟したい」と述べるのは16歳のケイラ・カバーリョさんだ。

これら7人の生徒たちの歩みは、教育者たちが唱える理論と一致している。ある教師は、自信や信頼感は、設備の整った教室や興味をひきつけるための華々しい活動よりよほど重要で、必要不可欠だと考えている。

ジエゴ・アモリン君はジャーナリスト志望だった。高校一年の時、働くために夜間コースに変更する必要があったが、夜間コースの生徒たちは勉強に関心がない事に気づき、仕事を辞めて昼間のコースに戻った。

その時の担任が、要求のレベルが高く、厳しいことで知られる教師ドーラさんだった。

「数学が好きだって気づいたんだ」というジエゴ君は、ドーラさんが受け持つ補習授業にも出始めた。ドーラさんが共同作業の重要性を繰り返し伝えたため、生徒たちは互いに解らないところを教えあうようになり、良く解る生徒がグループのリーダーになった。

ジエゴ君はクラスでも抜きん出ている生徒の一人だ。”クアンタ”ではロボット工学の試験に、学校を代表して臨む。サンパウロ総合大学(USP)の工学部が志望だ。

生徒たちはどんな試験が待ち受けているか興味しんしんだが、全員が野心も持っている。インドに行くだけでは充分ではなく、「勝ちに行くわ」とラファエラ・セイシャスさん(17)は語った(8日付「フォーリャ」紙より)。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Roberto Stuckert Filho/PR)
写真は2014年7月、リオデジャネイロ。第9回ブラジル公立学校数学オリンピック(OBMEP)授賞式。ジウマ大統領も参列した