ブラジル、防弾仕様自動車の生産、世界一に。トレンドは”大衆車なのに防弾仕様”!?
2014年 11月 30日TVグローボのニュース番組「ボンジーア・ブラジル」が11月28日づけで報じたところによると、ブラジルでは高級車のみならず、一般的な車種においても防弾仕様のものが増えてきているという。
防弾仕様車は以前は高級車でよく見られたが、ここ数年は中産階級用の一般的な車種を防弾仕様にしたいという要望が増えているのだという。危険を避けるには目立たないようにすることが一番で、高級車に乗っていること自体が危険な行動だからだ。
大学に通う娘のために、防弾仕様車を9万8千レアル(約470万円)で購入した銀行員は言う。
「気軽に買える金額ではないが大事な家族の命には代えられない。安心感が全然違う」
彼と同様に購入者の60%は、高級車ではなく、一般的な車種を選んでいる。
「ボン・ヂーア・ブラジル」によると、今年に入ってから死者が出た武装強盗は319件で、そのほとんどが自動車強盗に絡んでいるという。
防弾仕様車は、9mm口径のピストル、44口径リボルバーからの弾丸についてはテスト済みだ。ブラジルでの防弾仕様車生産は年間12万台、10年間で3倍となった。現在、メキシコを抜いて世界一である。
とあるディーラーによると、今年に入って防弾仕様車の販売は30%増加しているという。その背景にはより手ごろな値段で入手できるようになったことがあるという。
安いものだと3万2千レアル(約154万円)、8回分割利息なし、という条件で買えるものも出てきた。あるディーラーは、3万5千レアル(約168万円)が標準的だと言う。
小型車を防弾仕様にする場合、重量は140キロになるため、いくつかデメリットがある。ガソリンの消費が大きくなること、サスペンションやブレーキの消耗が早くなることが挙げられる。結果、転売時の価格がより大きく下がる。
ディーラーがもう一つ気を配ってるのは販売時の交付書類である。通常の車両販売の場合に交付する書類に加えて、どこでどういった会社(組織)がどういった処理を施したか、という説明を付けている。
とはいえ最も重要なのは、まさかの時に命を救ってくれるかどうか、という点である。
(文/原田 侑、写真/Reprodução/「Bom Dia Brasil」/TV Globo)
TVGloboのニュース番組「ボンジーア・ブラジル」は日本ではグローボインターナショナル(スカパー 514ch)で放送中)。写真上は実弾テストで弾丸が貫通しなかったガラス