「ブラジルのサッカーを実況し続ける男」中村義昭氏に聞く、ブラジルリーグの魅力
2014年 12月 5日「自国があのような大敗を経験した後、じゃあヨーロッパ流の組織的なサッカーを取り入れて変わっていこうよ、とはならなかったのが、ブラジルらしいところではないでしょうか。むしろ、じゃあもっと<個>を磨こう! ひとりひとりがもっと強く上手くなろう! 飛びぬけたものすごい選手を産もう! という機運が高まった、という印象を受けます。ワールドカップブラジル大会ではネイマールが怪我して代わりの選手がいないという状況に陥りました。でも、『大丈夫、大丈夫。次のロシア大会ではネイマールみたいな選手がほかに4~5人はいるから!』。ブラジルリーグからは、そんな声が聞こえてきそうです」
そんなブラジルリーグ、今シーズンで印象に残っているのは、 第29節のインテルナシオナル対コリンチャンス戦だとか。
「前半、コリンチャンスのGKカーシオが接触で流血して、治療の為に2度に渡ってゲームが中断されたんです。解説の前園さんと『アディショナルタイム、かなりありそうですね。7~8分とかになったら凄いですね~』なんて話していたら、なんと・・・実に13分もありました。今までサッカー中継の実況を2000試合以上やらせていただいていますが、アディショナルタイムが13分という例はありませんでした」
最終節のみどころとして、「第38節 クルゼイロ×フルミネンセ」戦を中村さんは推す。
「クルゼイロのリカルド・グラルとマルセロ・モレノ、フルミネンセのフレッジ。ゴールランキング上位選手が3人もいますからね。ストライカー対決がなにより楽しみです」
ブラジル代表としてワールドカップに出場したが、目立った活躍ができなかったフレッジにも注目、とのこと。実はフレッジ、今シーズンのブラジルリーグでもゴールを量産しているという(次ページへつづく)。
(文/加藤元庸、写真/アフロ)
写真は2013年11月10日、ブラジレイラォン、クルゼイロ対グレミオ戦。中央がリカルド・グラウ