治安維持部隊UPP配置から6年。変わりゆくファヴェーラ

2014年 12月 26日

モーホ サンタマリア

オリエンテーションに参加したアンドレア・ミランダさん(33)とパウロ・ホベルト・ロペスさん(46)の夫婦は、2年前、バラックの店でTシャツやマグネット雑貨を売る商売をはじめた。今では観光スポットの中心地マイケル・ジャクソン広場で「サンタマルタ土産店」を経営している。

広場の名前は、このファヴェーラでかつてマイケル・ジャクソンが「They Don’t Care About Us」のビデオクリップの撮影を行ったことに由来する。

「今では、自分たちの子どもたちが、彼らだけでこのコミュニティで育っていくことに何の恐れもありません。観光業が発展しているので、私と私の家族は民芸品を販売する仕事で生活しています」(アンドレアさん)

サンタマリア住民組合のジョゼー・マリオ代表は、常駐治安維持部隊(UPP)が配備されたことで、地域は平穏を取り戻し、住民は教育や文化を手にするチャンスを得たという。約2000冊の蔵書を持つ図書館も建てられ、ここではインターネットにアクセスすることができる9台のコンピュータを無料で利用できる。

「サンタマリアは成長しつつあり商業も発展しつつあります」(ジョゼー・マリオ代表)

常駐治安維持部隊(UPP)の配備後、リオ州は300軒の家に居住権を認め、現在さらに900軒が審査中だという。また、公共事業担当部署は30の住居を建てている。

そして治安の回復は周辺地区の不動産の価値を高める効果もある。リオ住宅組合によるとボタフォーゴ地区では、2部屋のマンションの販売価格が213%値上がりしたという。

(文/麻生雅人、写真/André Gomes de Melo)
写真はパウロ・ホベルト・ロペスさんと息子のイゴール・ミランドくん

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