巨大人形からそっくりさん(?)まで。サンパウロの街ではさまざまなサンタクロースが活躍

2014年 12月 25日

市役所 サンタクロース

クリスマスシーズン、サンパウロは町中がクリスマスの飾りつけやイルミネーションで賑やかになるが、サンタクロースも飾りつけにはかかせない存在だ。

市の北部では、高さ約20mのギネスブック公認の“世界一巨大なサンタクロース人形”「ノエウザォン」が登場。

かと思えば、サンパウロ市役所前にも、高さ約9mの巨大サンタが。こちらのサンタは、今年大きくクローズアップされた自転車専用道にあやかって、マイ自転車を手元に置いたサンタクロースとなっている。

街を賑わせるのは、人形のサンタクロースだけではない。街のあちこちのショッピングセンターでも、サンタクロースが子どもたちを「ホーホーホー」と出迎えている。

そんな、ショッピングセンターのサンタクロースに扮して23年という、もはや個のシーズンには街の顔ともいえる、ベテランのサンタクロースを現地メディア(「G1」12月22日づけ)が紹介している。

永年サンタに扮しているジョゼー・ダ・ヘスヘイサォンさん(70)は、双子の兄弟でもあるドミンゴス・ダ・ヘスヘイサォンさん(70)と共に、午前と午後の交代制でサンタクロースを演じている。

ジョゼーさんとドミンゴスさんは、ともにウェーヴがかった白い髪と髭を持っていて、サンタクロースらしさは満点。クリスマスシーズンにひっぱりだこな二人は、半年前から仕事のオファーが殺到するという。

二人ともこの仕事が大好きで一所懸命サンタに扮するため、シーズンには、ジョゼーさんは7kg、ドミンゴスさんは5kg痩せてしまうという。

「シーズンには約180回、サンタクロースに扮します。ときには、朝サンタの服を着てから、それを脱ぐのが翌日の夜明けになることもあります」(ジョゼーさん)

「私がサンタクロース(ブラジルではパパイ・ノエウ)と呼ばれるようになったのは、サッカーをやっていたころからです。そのころから髪は長くて白く、髭も生やしていました。定年退職後、本格的にサンタクロースになろうと思ったのです」(ジョゼーさん)

ジョゼーさんはこの仕事を初めてもう23年だが、ドミンゴスさんは10~11年。

ドミンゴスさんは、子どもたちからお礼におしゃぶりや哺乳瓶をプレゼントされることが多いという。ドミンゴスさんが働くのはタボアォン・ダ・セーハ市にあるショッピング・タボアォン。サンタクロースに初めて扮したときから、ここで働いている。

「最近、子どもたちからリクエストを多く受けるのは、自転車、携帯電話、タブレット。中には、自分で欲しい自転車を買うから1000ヘアイスをくださいという子がいましたね(笑)」(ドミンゴスさん)

ジョゼーさんの洋服ダンスには、赤と白の衣裳が約20着、常備されている。

「新しく仕事でサンタクロースを始めた人から相談を受けることがよくあるんですが、使い古した衣裳は、そんな新人のサンタクロースにプレゼントすることもありますよ」(ジョゼーさん)

ドミンゴスさんの衣裳は7着。

「でも、洗うのは大変ですよ。赤い色が白いところを染めないように気をつけなければなりません」(ドミンゴスさん)

ドミンゴスさんには一人の娘がいるが、ときどき彼女がサンタの衣裳を着て、女性サンタクロース(ママイ・ノエウ)としてイベントに出演することもあるという。

ジョゼーさんの一家はもっと筋金入り。6歳になる孫が早くも、クリスマス時期にはサンタクロースに扮するばかりか、買っているオウムも、来客を「ホーホーホー」と鳴いて迎えるという。

(文/麻生雅人、写真/Paulo Pinto/Fotos Públicas)
写真はサンパウロ市役所前のサンタクロース