ブラジルのデニム業界、2015年の行方は

2015年 01月 9日

ヴィトリーノ・カンポス

2015年、ブラジルのデニム市場は約5%の成長が期待されていて、業界全体で約190億ドルへ膨れ上がる–。NYのファッションメディア「ファッションタイムズ」が1月2日付けで、そんな記事を紹介している。

ラテンアメリカで最大の繊維関連企業のひとつカナチーバ社のマーケティングディレクター、ファビオ・コヴォラン氏が、デニム業界の展望をファッションニュースのポータルサイト「WWD」に語った。

カナチーバ社は、ヴィクーニャ社と並ぶ業界大手。15~20のメーカーによって占められているブラジルのデニム業界の生産量の50%をこの両社で占めている。

「私たちは、過去数年間で10%~15%は市場を拡げています。今年だけで更に5パーセント成長するでしょう」(ファビオ・コヴォラン氏)

ブラジルのデニム業界は規模も大きく高い競争力を持っているという。

「(私たちは)イタリア並の製品の品質と中国並の価格をマッチングさせています」(ファビオ・コヴォラン氏)

今年は1本あたり平均で50USドルのジーンズが、約3.8億本生産されることが期待されており、小売価格の総額は190億USドルと想定されているという。

サプライヤーのひとつサンタネッシ社のマーケティング・ディレクター、エレノーラ・フランサさんによると、ブラジルでは約5億メートルのジーンズが平均価格約9USドルで毎年生産されており、これは年間45億USドルの規模に当たるという。

ただし、2015年の市場の見通しに関しては、見方はさまざまなようだ。

エレノーラ氏は「私たちは何年かぶりに成長の鈍化に直面するかもしれない」と、コヴォラン氏とは異なる見通しをWWDに述べた。

また別の有力デニムメーカー、セドロ社のファビオ・マスカリーニャス理事長は、ブラジルの業界の力強さは認めたが、収益は2014年と横ばい状態だろうとWWDに語っている。

景気の鈍化に伴いファストファッション市場が有利に成長する中、ブラジルのプレミアムブランドは今年、苦戦を強いられるという予測もある。

消費が打撃を受けていることで、ブランドは価格を下げるなど手を尽くしてファッション需要をなんとか刺激しようとしている。

「我々は技術革新に注力して常に新製品や新たなアイテムを開発しています」(ファビオ・コヴォラン氏)

カナチーバ社は、より魅力的なカラーと肌触りを持った機能的な生地を開発中だという。また、ブラジルは通貨安が続き輸出が有利な今、海外での企業展開が新しいチャンスを広げるかもしれないと「ファッションタイムズ」は述べている。

(文/加藤元庸、写真/Agência Fotosite/Divulgação)
サンパウロファッションウィーク2015秋冬コレクションでも「コルチ」をはじめ様々なブランドでデニムのウェアが目を引いた。写真はヴィトリーノ・カンポスのショーのバックステージ