「厳しい一年」だった2014年度でも通信、化学品は好調。建設業界では「日本流の納期、施工、工期」でプレハブ部門が受注伸ばす

2015年 03月 2日

プレハブ住宅

ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)は2015年度上期「業種別部会長シンポジウム」を24日午後、サンパウロ市内ホテルで「再生目指すブラジル経済! どう頑張る日系ビジネス」を副題に開催し、170人が出席。参加11部会の代表者が14年度の回顧と15年度の展望を話した。

昨年を「厳しい一年だった」と評価する業界がほとんどで、レアル安、高金利、インフレ、ペトロブラス問題、水・電力不足、大統領選挙W杯の悪影響等、各業界悩みの多い一年となった。

好調だった部会は僅かで、代表格は運輸サービス部会の通信業界。スマートフォンの急速な普及により、3G、4G契約者数が著しく伸び、主要4大キャリアの年間設備投資額の合計は210億レアルに上った。

また、化学品部会も好調で経済低迷の影響も少なく、過去10年年間10%成長、今後も活発な新商品開発が続くと予想される。

伸びが期待された食品部会は、W杯の好影響で飲料部門はビールを中心に消費は好調だったものの、食品産業全体では、景況感悪化に加え、コスト増による値上げの影響で物量ベース前年比90%、金額ベース前年比並み、「これほどの落ち込みは想定外」と結んだ。15年は消費財の高インフレは継続、加えて公共料金の値上げに伴いミドル層が牽引してきた消費マインドの低調さは継続。レアル安、原燃料コスト上昇により収益面の悪化も懸念される。

建設不動産部会の建設部門は、ブラジル経済の減退による日系企業の投資鈍化やペトロブラスの汚職問題による発注遅れやゼネコン不在に苦しんだ。

一方で、プレハブ部門は”日本流の納期、施工、工期”が浸透、受注を伸ばした。

不動産部門ではサンパウロ市やリオ市の賃貸マンションの賃貸料も上がりつづけてきたが、昨年に引き続き鈍化傾向が見られ、横ばいムードとなりつつある。

自動車部会の四輪部門は、14年の販売台数が約350万台で、12年の380万台をピークに前年比93%と2年連続で前年を下回った。輸入車比率は18%と3年連続で低下した。一方、中古車市場は乗用車・軽商用車の販売台数が過去最高の1005万台に達した。

二輪部門の生産・販売ではW杯による稼動減、経済環境の悪化により前年比94%と前年比を下回り、3年連続で前年割れとなった。

電気電子部会は、前年はスマートフォンとトラディショナル携帯(ガラケー)の販売台数、タブレットとノートパソコンの販売台数ともにほぼ横並びだったが、14年にはスマートフォンが伸長、全体の約7割を占め、タブレット端末も急伸しノートパソコンを追い越した。15年は、中長期では悲観的でないものの、短期的には景気の好転が期待できず、ひたすら耐える一年と見ている。

低迷景気に苦しむ繊維部会では、中国製衣料輸入は若干鈍化したものの、ベトナム製やインドネシア製の勢いが強まっており、W杯・大統領選挙による消費低迷、電力・水供給不安とコストアップに喘ぐ一年となった。15年も好転材料に乏しく、更に厳しい一年になる予想と結んだ。

機械金属部会も昨年はW杯による稼働日数減少、大統領選挙による経済活動の停滞、自動車販売台数の減少やペトロブラス問題による公共事業の入札停止、労働者解雇や日本からの投資減退など八方塞の一年となった。

イヴァン・ハマーリョ開発商工副大臣はアルマンド・モンテイロ大臣と進める新貿易政策について「目的は輸出製品、輸出先、輸出製品の減産国の多様化」とし「計画が実現すれば輸出と貿易全体が拡充されることになる」と話した。

講評に立った佐野浩昭在サンパウロ日本国主席領事は、120周年事業に対する会議所会員企業の協力に感謝し、「日本ブランドを広めるためにジャパンハウスも大いに利用して欲しい」と話し、大使館の小林和昭参事官は課題が山積みのブラジル経済について触れた上で「日系企業の力強さを感じた」と話し、「ジウマ政権の新経済班になり政府とのアポイントメントが取りやすくなり、日系企業にもチャンスが広がっている」と期待を込めた。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Divulgação)
住宅情報誌「カーザ・ヴォーグ」によると、これまでプレハブ工法の家は、ブラジルでは南部で普及した面もあったが、レンガづくりの家に比べ頑丈ではないというイメージが広く持たれていたという。しかし情報技術の発達とともにデザインなどに顧客の要望が反映できて早く安いプレハブ工法は注目を集めはじめているという