7月10日はピッツァの日。サンパウロの最新ピッツァ事情は…!?

2015年 07月 11日

サンパウロ ピザ

7月10日はブラジルではピッツァ(ピザ)の日。ブラジル、特にサンパウロはイタリア系移民の子孫が多く、イタリア料理のレストランやピッツァ専門店が多い。そんなサンパウロで最近、ピッツァをめぐる状況に変化がみられるという。

TVグローボが7月10日、番組「ボン・ヂーア・ブラジル」で伝えたところによると、最近、サンパウロ市民の間ではレストランではなく、自宅でピッツァを消費する傾向がみられるようになってきているという。

市民が自宅で食しているピザは、有名ピッツァリアからの宅配ものや、パン屋さんの店頭で買い求めたものなど様々だ。

サンパウロ市民にとってピッツァは生活に欠かせない。記念日など特に理由をつけて食べる人は少なく、毎日食べる人も珍しくない。少なくとも週に1度は食べるという日常食だ。

サンパウロピッツァリア連合会によると、市内では1時間に1万3000枚のピッツァが焼かれ、サンパウロ州全体では1日に57万2000枚のピザが供給されているという。

市民生活に身近なピッツァも不況の影響からは逃れられず、同連合会によると第1四半期の売上は前年同期比マイナス17~25%という結果が予想されるという。

今年の景況感を反映して、ピッツァリアに来店する客は激減し、レストランに着席している客の姿がない、という状況もあまり珍しくはなくなった。

お客様が来てくれないなら、ピッツァがお客様のところにいく、という発想で宅配を始めたレストランも多い。客席をなくして宅配に特化し、厨房だけを残したレストランもある。

市民の財布のひもは固く、当面緩むことは考えにくいため、宅配ピッツァ店にとっては具材の仕入値を押さえ、価格を上げずに安定的に顧客に提供することが課題となっている。

「今年に入って成長率は思ったほど伸びず、今の段階で8%程度です。計画では23%の成長を見込んでいたのですが・・・」(宅配ピザチェーン店オーナー、エリーヂオ・ビアジーニさん)

週に3度は夫とピッツァをシェアして食べている、というイレイア・ホドリゲスさん。今は宅配ピッツァでその習慣を維持している。

「レストランで食事をする時は、ピッツァだけではなく車のガソリン代、駐車場代、給仕係に払う10%のサービス料、ワイン、デザートなど余分なお金を使うことになるので、今は宅配ピッツァで十分だと思っています。やりたいことはピッツァを食べることですから」(イレイア・ホドリゲスさん)

ブラジル全体ではピザは年間消費高220億レアルという巨大市場を形成している。今やサンパウロのピッツァリアのうち80%が宅配のサービスを行い、この巨大市場を支えている。

(文/余田庸子、写真/麻生雅人)
写真はサンパウロ市内のピッツァリアによってデリバリーされたピッツァ