「ポルトガル語は3カ月あれば取得できる」説

2015年 09月 21日

雑誌 ヴェージャ

語学学校では授業を受けるのはもちろんですが、作文を添削してもらうのも効果的だと思います。

外国語を学び始めのころは語彙力が低いので、会話のキャッチボールがスムーズにできません。会話はリアルタイムなので、文法もめちゃくちゃになってしまいがちです。そこで、語彙力を増やし、文法力を上げるためにオススメしたいのが、作文と添削です。

何でもいいので、辞書を引きながら作文して、それを先生に赤ペンで添削してもらうのです。ブラジルと日本の文化の違いを紹介すると、先生にも喜ばれるので一石二鳥です。僕は、「日露戦争がなぜ起こったのか」、「日本人はなぜブラジル人よりも静かなのか」などと毎回テーマを決めて作文していました。それを授業で先生に見せれば、授業での話題にも花が咲きます。授業の時間は限られていますが、事前に作文をしておけば、その時間を最大限に活用できます。

赤ペンで添削してもらった作文は、自宅で声に出して読み返します。このような過程を経ることで、作文した内容がストーリーとして頭に残りやすいので、効率的に語彙を増やすことができます。

さて、僕の結論は、ポルトガル語の習得は三ヵ月あれば十分、となります。むしろ三カ月くらいで学習を切り上げてしまい、実践するこをお勧めしたいのです。

僕はブラジルで仕事を始める前、一ヵ月間日本でポルトガル語を勉強し、二ヵ月間サルバドールの語学学校でポルトガル語を勉強しました。勉強開始から三ヵ月後には、ブラジルの週刊誌「Veja」をナナメ読みできるようになっていましたし、ブラジル人ともカタコトであれば会話できるようになっていました。

そのあと、ブラジルでの仕事を始めましたが、特に不便を感じませんでした。別に自慢話をしようと思って、この文章を書いているわけではありません。三ヵ月くらいあればブラジルで生活して仕事するには十分な語学力を身につけることもできるということを伝えたかったのです。

僕はインドネシア、ブラジルの2ヶ国に長期滞在したことがあります。奇遇なことに、どちらの国でも三井物産の研修生の方にお会いしました。三井物産では2年間の海外研修プログラムがあるそうです。最初の一年間は語学研修をし、残りの一年間は語学力を利用してインターンをするというものだそうです。彼らと話をしてみると、やはり一年間の語学研修は長いと考えているように感じました。

語学学習のコアなところは三ヵ月もあれば完了してしまいます。語学は極めようと思ったらきりがありません。あまり長く勉強していると、題材がマニアックになっていきます。通訳でも目指しているなら別ですが、言語はあくまでもツールなので、それを仕事に活用できなければ段々と空しくなってきてしまいます。

語学学習だけ一年間やるよりは、三ヵ月くらいで短期集中的に勉強し、仕事を始めてしまった方が良いと思います。語学力は現地で生活していく中で伸ばしていくことができますからね。

(文/唐木真吾、写真/fbobraga)
写真、右が雑誌「ヴェージャ」

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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