日本在住のブラジル人空手家、水を使わない自動車洗浄剤を発明

2015年 10月 31日

水を使わない洗車

同じ空手の道場でも、ブラジルでは危険から身を守るために教えることが多いという。対してフェルナンドさんが門を叩いた日本の道場では、礼儀やマナーを通してスポーツ競技として教えていた。

品格ある青少年の育成を目指し、礼節を重んじるスタイルは、フェルナンドさんの目にはまったく違って映っていたという。

そしてフェルナンドさんは1998年、全日本空手道選手権大会(天真館)の一般選抜、組手の部で優勝。続いて翌1999年にも同大会一般選抜、型の部で優勝を果たす。日本で空手の大会のチャンピオンになるという夢を叶えた。

そんな彼が「水なし洗車剤」なんてモノを作ることになったきっかけもまた、日本びいきのフェルナンドさんらしい発想からだった。自動車が好きなフェルナンドさんは、「常に綺麗な状態で走りたい」という気持ちが強かったのだという。

一番初めに買った車はドイツ車だったが、車をいじるのが好きでパーツ交換なんてことはお手のものだった彼は、アニバーサリーエディションの日産フェアレディZを購入した。

ところが、マンション住まいだった当時、使いたいだけ水を使うことはできなかった。そんな環境の中でも車を綺麗にできる製品を、まずは探し求めた。

水を使わずに車を綺麗にする洗車剤は、7~8年前の当時からアメリカ合衆国などにあるにはあったが、洗車はできても車体に傷がつくなどの難点があったという。また、水不足に悩まされていたブラジルでもこの2年ほど、水を使わない洗車剤の需要が高まっていたそうだ。しかしフェルナンドさんが満足できる製品はなかった。

そこで、フェルナンドさんは、とある研究所に自身が欲しいと思う商品を実際に作ることができないかを相談した(次ページへ続く)。

(文/加藤元庸、写真提供/三好フェルナンド)