決壊した鉱山廃水貯蔵ダムの汚染泥土、大西洋岸に到達。ウミガメなど海洋生物への影響の懸念高まる
2015年 11月 24日「海水中の高濃度の有害物質は魚類にうっ血を起こさせます。また、汚泥が河口に到達したことで、この地で産卵をするウミガメの営巣活動をはじめ、海洋生物全体に影響が出る可能性は高くなります」(ルシアーノ・エヴァリスト氏)
生物学者、アンドレ・フッシ氏によると、流出した汚泥はパンタナウ湿原と同じぐらいの広さの海の環境汚染を引き起こしうるという。フッシ氏は、何も手を打たなければ『茶色い津波』による汚染の浄化には100年ほどかかると見込んでいる。
一方、リオデジャネイロ連邦大学のエンジニア、パウロ・ホスナン氏は環境団体によって自然へのダメージが多面的に調査されているところだという。
「海洋においては、特に影響はないと確信しています。海に巨大な文様が出ますが、それも時間とともにいずれ散っていくものです」(パウロ・ホスナン氏)
環境相イザベラ・テイシェイラ氏は23日、リニャーレス市を訪問し、サマルコ社が提示した緊急措置を確認する。州知事のパウロ・アートゥンギ氏も同行する予定だ。
20日、環境相は汚泥の海岸沿いでの拡散は河口から北に6キロ程度と確認している。ダムが決壊した当初、汚泥は河口から250キロ離れたアブローリョス諸島にまで達するとも言われていた。
リニャーレス市によると、汚泥の到達によって市の給水に影響が出るという。汚染されたドーシ川とジュパラナン湖の間にある水流、ペケーノ川からの給水になるとのことだ。
ドーシ川の泥の影響がペケーノ川に出ないよう、リニャーレス上水道管理局は今年10月に建設された堤防をさらに厚くした。
給水ルートが確保できたため、リニャーレス市は泥によって3日間給水が止まっているコラチーナ市に給水トラックを送り、飲料水を運ばせている。
検察庁は20日、サマルコ社がコラチーナ市民向けにミネラルウオーターの配給を行うことを市に通知した。サマルコは100か所の給水所を設けたが、市はそれだけでは十分ではないという。
バイショ・グアンドゥ市では16日からドーシ川からの給水を中止している。市はグアンドゥ川の水路をポンプ場まで開放し、市民に供給している。
(文/余田庸子、写真/Paulo de Araujo/MMA)
写真は11月23日、イザベラ・テイシェイラ環境相(写真右)は、汚染泥土が到達したエスピリットサント州の沿岸部を陸と空から視察した