ブラジル人が一緒に働きたいと思う上司像とは?(2)

2015年 12月 1日

CRIによると、「トップ牽引型」リーダーシップに依存する組織では、リーダーの交代により組織がそれまでと同レベルのパフォーマンスを発揮しにくくなる恐れがあるという。

一方の「組織開発型」リーダーは、リーダーシップを各メンバーと共有する形態をとるという。個々のメンバーがリーダーシップを共有する分、一人のリーダーが入れ替わっても組織のパフォーマンスを維持しやすいのだという。

もちろん、それぞれメリット・デメリットがあるだろう。

「トップ牽引型」では、リーダーの決断一つで物事を動かせる機動性というメリットはあるものの、リーダーの交代ですべてが変わってしまい、組織内の時間的・労力的なロスが大きく、個々のメンバーに権限委譲するための育成の時間がない、というデメリットが出てくると想像できる。

「組織開発型」では、権限委譲が浸透していることからリーダーの交代によるロスが少ないため組織にノウハウが蓄積しやすい、長期的な視点をもって組織を運営しやすい、というメリットがある。またその一方で、メンバーがそれぞれリーダーシップを発揮できるようになるには時間がかかるため、人材の流動性が高い組織ではメリットを感じにくいというデメリットがある。

どちらがよい、と一概には言えないが、現段階で機能しやすいリーダーシップの特性とそれぞれのメリット・デメリットを意識しながら、会社が求めるものと部下が求めるものの違いを認識して組織を運営していく必要がありそうだ。日本企業のブラジル支社駐在員の方々には、「組織開発型」リーダーを求める日本の本社と「トップ牽引型」リーダーを求めるブラジル人部下の間で舵を取るスキルが求められそうだ。

Part 3 では、CRI第3回レポート『何が良好な上司と部下の関係をつくるのか』をもとにブラジルにおいて部下との関係性を向上させるヒントを探っていきたい。

(文/麻生雅人)

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