エドゥアルド・コブラが駐日ブラジル大使館で壁画を制作

2016年 06月 20日

エドゥアルド・コブラ

エドゥアルド・コブラとそのクルーが駐日ブラジル大使館の壁面に描いているのは、ブラジルを代表する音楽家アントニオ・カルロス・ジョビン(トン・ジョビン)と、ジョビンとの共作で数々のボサノヴァの名曲を生んだことでも知られる詩人、作詞家のヴィニシウス・ジ・モライス。

「トンとヴィニシウスは、リオで開催されるオリンピックとパラリンピックのマスコット・キャラクターの名前にもなっていますね。このふたりは、リオデジャネイロのシンボル的な存在ともいえます。トンとヴィニシウスが題材は駐日ブラジル大使館と話し合って決めたものですが、彼らが題材に選ばれたのは、オリンピック・パラリンピックが開催される年を記念して、という意味もありますが、それだけではありません。彼らはボサノヴァの歴史と伝統でも名前を残したし、ブラジルを代表する存在ですからね」

エドゥアルド・コブラ

コブラのウォールアートは、まるで写真のような人物画でおなじみだ。これまでにもシコ・ブアルキ、ジョン・レノン、デヴィッド・ボウイ、ダラ・イラマなどから、名もなき人々の肖像まで、さまざまな人物の顔を写実的に描いている。

「西武百貨店に作品を描くのは今回で2度目ですが、オリンピック・パラリンピックにちなんでリオデジャネイロに関する絵ということで、クリストヘデントールを描きました。私はよく、自身が尊敬する人物を題材にしたムラウ(ウォールアート)を描きます。マーティン・ルーサーキング、ネルソン・マンデラ、マララ・ユスフザイ…。自分にとって大切な人、名を残した人など。駐日ブラジル大使館に描いているヴィニシウスとトンも、ブラジルにとって大切なものを残した人たちですからね」

エドゥアルド・コブラ

ヴィニシウス・ジ・モライスとトン・ジョビンのムラウの制作は、方眼で区切ったふたりのポートレート写真に、壁画に描くデザインを加えた下絵をもとに進められていた(次ページへつづく)。

(写真・文/麻生雅人)