中平康監督の映像作品、ブラジルで初の特集上映
2016年 07月 18日国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、今年8月のリオ・デジャネイロ・オリンピック ・パラオリンピックの開催にあわせ、リオから、次回のオリンピック・パラリンピックの開催地である東京へとバトンをつなぐ取り組みとして、オリンピック開催前の7月から8月にかけてリオ・デジャネイロで日本とブラジルの共同事業による美術、映像舞台芸分野の文化交流事業を行う。
この事業は、美術、映画、音楽の各分野で、前回の東京オリンピック時代後に活躍したアーティストの作品に焦点を当てて紹介して、躍動する時代の日本の姿を伝えるとともに、未来へのメッセージ発信しようという趣旨で開催されるもの、とのこと。
現在、事業の第一弾として、7月14日(木)からリオデジャネイロ市旧市街区(セントロ)のパッソ・インペリアウにて「コンテンポラリーの出現・日本の前衛芸術1950-1970」が開催されている。
映画の分野では中平康監督の作品を、ブラジルで初めて特集上映する。
国際交流基金は中平康監督を「第1回東京五輪(1964年)開催当時に活躍していた映画の巨匠たちの中でも、多様な映画手法を積極的に用い、スピーディーなテンポで前衛的かつ娯楽的作品を数多く生み出した」と紹介する。
海外ですでに高い評価を得ている黒澤明、小津安二郎、成瀬巳喜男、溝口健二だけでなく、制作当時の日本の風俗をモダンでスタイリッシュに反映した中平康監督作品の特集上映は、リアル”クール・ジャパン”の紹介となりそうだ。
青春映画から、アクション、コメディ、サスペンス、文芸作品まで、ランナップされた多彩な中平作品の中から選ばれた8作品の中には。オリンピックイヤーに公開された3作品も含まれている。
特集上映はリオ・デ・ジャネイロのほかにサンパウロでも同一のプログラムで巡回上映される予定。上映作品は下記。
1 「狂った果実(Juvenile Jungle)」1956年、86分、出演/北原三枝、石原裕次郎
2 「夏の嵐(Summer Storm)」1956年、86分、出演/北原三枝、津川雅彦
3 「誘惑(Temptation)」1957年、91分、出演/左幸子、芦川いづみ
4 「その壁を砕け(Break Down That Wall)」 1959年、100分、出演/長門裕之、芦川いづみ
5 「猟人日記(The Hunter’s Diary)」1964年、123分、出演/仲谷昇、戸川昌子
6 「砂の上の植物群(Flora on the Sand)」1964年、94分、出演/仲谷昇、稲野和子
7 「月曜日のユカ(Only on Mondays)」1964年、93分、出演/加賀まりこ、中尾彬
8 「黒い賭博師(The Black Gambler Color)」 1965年、86分、出演/小林旭、冨士真奈美
日本映画上映 「中平康監督特集」
会期と会場:
リオデジャネイロ/7月27 日(水)~8月1日(月)
Centro Cultural Banco do Brasil Rio de Janeiro
(ブラジル銀行文化センター/リオ・デ・ジャネイロ)
サンパウロ/8月3日(水)~8月8日(月)
Centro Cultural Banco do Brasil São Paulo
(ブラジル銀行文化センター/サンパウロ)
(文/麻生雅人、写真提供/国際交流基金、 ©1956 NIKKATSU Corporation)