テメル政権現職閣僚8名に収賄容疑。大統領は罷免しない方向

2017年 04月 16日

ニーマイヤー ブラジリア

ブラジル石油公社(ペトロブラス)をめぐる贈収賄捜査「ラヴァ・ジャット(洗車)作戦」が劇的な展開を見せている。

検察が2016年末から行ってきた、贈賄側企業オデブレヒト(オーデブレヒチ)社の幹部・元幹部など関係者の証言から、現職閣僚を含む大物政治家たちと贈収賄の関連が明らかにされつつある。これらの政治家は今後、取り調べの対象となると見られる。

グローボ系ニュースサイト「G1」が4月15日づけで伝えたところによると、テメル大統領は贈賄側の証言でスキームに絡んでいたとされる現職閣僚8人につき、このまま続投させる意向だという。

大統領補佐官のブログでは「テメル大統領は誰ひとりクビにしないことを決めた」と書かれている。

疑惑の渦中にある8人の閣僚は下記の通り。

アロイージオ・ヌネス(PSDB 外務省)
ブルーノ・ヂ・アラウージョ(PSDB ブラジル社会民主党・都市省)
ブライロ・マッジ(PP 進歩党・農牧供給省)
エリゼウ・パヂーリャ(PMDB 民主運動党・大統領府)
エウデール・バルバーリョ(PMDB・国家統合省)
ジウベルト・カッサビ(PSD 社会民主党・科学技術・通信省)
マルコス・ペレイラ(PRB ブラジル共和党・開発商工省)
モレイラ・フランコ(PMDB・大統領府事務局長)

現地では連日、どの政治家がいくら懐に入れたか、という推測がメディアを賑わわせているが、上記閣僚は全員、不正な献金への関与を否定している。

なお、テメル大統領の側近曰く、大統領は訴えられて被告になるまでは誰一人罷免することはないと語っているという。

(文/原田 侑、写真/Pedro Ventura/Agência Brasília)
写真は2017年4月4日、補修が行われている首都ブラジリアの国立博物館。テメル政権は発足当時から大統領自身を含め閣僚の何名かが潔白ではない可能性が示唆されていたが、2018年の時期大統領選挙までに、前大統領の罷免を受けて成立した背景を持つ特殊政権ならではの立場で、これまで歴代政権が足を踏み入れることのできなかった“ブラジルの洗濯”を遂行しようとしているようにみえる