ブラジル、6月は11年ぶりのデフレに

2017年 07月 9日

トマト 値下がり ブラジル デフレ

グローボ系ニュースサイト「G1」が7月7日づけで伝えたところによると、2017年6月の消費者物価上昇率は11年ぶりのマイナスになったという。

ブラジル地理統計院(IBGE)が7月7日に発表した6月広域消費者物価指数(IPCA)は-0.23%のデフレ状態で、6月単月としてはレアル・プラン施行以後最低の水準とのことだ。

エコノミストいわく、価格が下がった要因は、食料の生産過剰、電気代の低減とのことだ。

前回物価上昇率がマイナスとなったのは2006年6月の-0.21%。今までの最低記録は1998年8月の-0.51%だった。

近年のブラジルはインフレの状態が続いており、デフレが続いたのは1998年6月から同年8月の3か月間のみ。「G1」がヒアリングをしたエコノミストたちによると、6月は季節的に物価上昇率が低くなる傾向があるとのことだ。

2017年6月までの直近12か月でIPCAは+3%~3.6%で政府が目標としている4.5%を下回っている。これは年+2.96%を記録した2007年3月以来の低水準だ。

6月は家計の支出の59%を占める3つのカテゴリーで0を下回った。(食費-0.50%、水道光熱費・住居費-0.77%、交通費-0.52%)。

食費は家計の26%を占めるが、内食分野の下落が大きかった。IBGEが調査の対象とした153品目のうち、100品目で価格の下落がみられた。特に下落幅が大きかったのはトマト-19.22%、ジャガイモ-6.17%、果物-5.9%となっている。逆に値上がりがみられたのはフェイジョン・カリオカ(カリオカ豆。ブラジルの主食的な位置づけの食品)で+25.86%だった。

外食費は+1.99%、とまだ高止まりだが、昨年6月の+4.7%と比べるとインフレ度合いは緩やかだ。

家計の15%を占める水道光熱費・住居費の下落を先導したのは電気代の低減(-5.52%)だった。交通費が下がった主な要因としてはガソリン代の低減-2.84%があげられる。

7月の消費者物価指数は地域によって異なる要因に左右される見込みだ。水道光熱費の増額が決まっている地域もある。

上下水道の利用料が増額となるのが南部リオ・グランヂ・ド・スウ州ポルト・アレグリ市(+4.5%)、北東部セアラー州フォルタレーザ市(+12.9%)、北東部バイーア州サルヴァドール市(+8.8%)。電気使用量が上がるのがポルト・アレグリ市(+5.84%)、サンパウロ市(+5.57%)、パラナ―州クリチーバ市(+7.09%)。これらの地域では6月よりもインフレ率は高く出るものとみられる。

(文/原田 侑、写真/José Gomercindo/ANPr)
写真は2015年1月、サンパウロ市内のスーパーマーケットのトマト売り場。インフレが進行していた同年1月にはトマトの高値がニュースになっていた