今最も注目されるブラジル人選手、プレミアの舞台で躍動するガブリエウ・ジェズス

2017年 10月 24日

ガブリエウ・ジェズス

ロシアW杯まであと7ヶ月ほどになった。出場国もほぼ揃ったが、最初に出場を決めたのはブラジルだった。

前回2014年、地元開催のW杯で屈辱的な敗退を喫し奈落の底に落ちたのもつかの間、昨年のリオ五輪で劇的な金メダルを獲得し、その後、フル代表の監督にチチが就任したのをきっかけに、ブラジル代表は見違えるような復活を遂げた。監督がチチに変わったセレソンは公式戦負けなしで、一気にW杯南米予選の首位に躍り出て、最初のロシアへの切符を手にした。

そんなブラジル代表の復活劇に大きく貢献しているのが、ガブリエウ・ジェズスだ。

昨年のリオ五輪の時には、ガビゴウことガブリエウ・バルボーザとともにWガブリエウとして注目されていた。

しかしリオ五輪で金メダルを取った後、Wガブリエウの2人は対照的な境遇を歩む。

ガビゴウは、リオ五輪後すぐに、サントスからイタリア・セリエAのインテルへ移籍した。

だが、期待とは裏腹にほとんど出場機会を得ることはできていない。チームメイトの長友とは仲がいいようで、たまに長友のSNSに一緒に写っている写真がアップされる程度で、この夏にポルトガルのベンフィカにレンタル移籍している。しかし、ベンフィカでも残念ながら、出場機会をほとんど得られていないようだ。素晴らしい才能の持ち主であることは間違いないので、頑張ってほしいと思う。

一方のガブリエウ・ジェズスは、マンチェスターシティ監督のグァルディオーラから熱烈なラブコールを受け移籍することに合意したが、2016年シーズンはパウメイラスでプレーし続け、パウメイラスの22年ぶりのブラジルリーグ優勝に貢献した。リーグ優勝を置き土産にし、2017年1月にプレミアリーグに移籍した。

ガビゴウとは対照的に、ガブリエウ・ジェズスのマンチェスターシティでの活躍には目を見張るものがある。

移籍後すぐにレギュラーポジションを奪い取り、2016-17シーズンは途中加入ながら10試合7ゴールといきなりの大活躍ぶりだ。

そして、8月から始まった2017-18シーズンでもほとんどの試合で先発出場を果たし、現在まで8試合6ゴールと絶好調なのだ。絶対的エース、アグエロ(アルゼンチン代表)とも対等に渡り合っており、チーム内での存在感も相当なものだ。

マンチェスターシティでのガブリエウ・ジェズスは、まさに水を得た魚、躍動感に満ち溢れている。

最も得意なポジションはセンターフォワードだが、ドリブル突破も得意で、前線ならどんなポジションでもできる。得点能力に優れ、自分でも突破でき、味方を使うこともできる。プレースタイルはまさにフッチボウアルチ。見ていて惚れ惚れとする選手だ。

ブラジル代表でもコウチーニョやカゼミーロなどいろいろな才能を持った選手はいるが、今のメンバーではネイマールに勝るとも劣らない突出した存在に映る。

ネイマールより5歳年下で、伸びしろ十分の20歳。これからまだまだ伸びていくだろう。

今最も注目される選手。それが、ガブリエウ・ジェズスである。これからもますますの活躍に期待していきたい。

(文/コウトク、写真/Lucas Figueiredo/CBF)
写真はガブリエウ・ジェズス。2016年11月8日、グランジャコマリーにて

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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